日々記 観劇別館

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『三銃士』感想(2011.8.7マチネ)

(キャスト)
ダルタニャン=井上芳雄 アトス=橋本さとし アラミス=石井一孝 ポルトス=岸祐二 アンヌ王妃=シルビア・グラブ コンスタンス=和音美桜 ロシュフォール=吉野圭吾 バッキンガム公爵=伊藤明賢 ルイ13世今拓哉 進行役/ジェイムズ=坂元健児 ミレディ=瀬奈じゅん リシュリュー枢機卿山口祐一郎

3回目の『三銃士』観劇でした。でも今回あまり気合いを入れて観ていないので、猊下以外は薄めの感想です。
座席は下手側の2階XB列。銀橋上での演技が見えるかどうか不安でしたが、ぎりぎり見えました。

まず、前回女性陣、特にシルビアさんのお声の調子があまりよろしくなかったのですが、今回は好調な感じでした。やっぱり1幕の三重唱できちんと声が響き合うのは良いですね。
だいぶ皆様安定してきた感じで、突っ込む所がほとんどありません。

1幕の修道院での乱闘後のロシュフォールのアトスへの暴言は、前観た時は「バーカ!」一言でしたが、今回は「バーカ!バカッ!」と2回連呼していました。そして指で言われた回数を1、2、と数えるアトス(^_^)。
あと、三銃士のコント掛け合いが徐々に進化を遂げています。どこだったか忘れましたが、同じ決め台詞を早口のユニゾンで3回ぐらいリフレインしていました。

猊下は、1幕の「おお主よ」を聴いて、やっぱりこの人の歌の迫力は尋常ではないと実感いたしました。
今回はっとしたのは、宮殿で王妃にバッキンガム公との過去の話を持ちかけて動揺させる時のハイトーンボイスが、ミレディに相対する時たちまちやや低めの艶っぽい声色に変わる瞬間。
狩り場での猊下の暴走もだいぶ安定してきた感。国王に向けてブラボーを2回言い、両手のアクション付きで「優れたハンター」とヨイショしてました。ミレディとロシュフォールへの「やかましい!」はだんだん甲高いおばちゃん声になってきています。

2幕序盤で猊下、坂元さんの役者に自分を模した仮面を突きつけられて仰け反りますが、この仮面突きつけがまあ長々と続く続く(^_^;)。途中で猊下が「もういいから」とばかりに2回ほど坂元さんの腕にチョップしていました。
今回反省したのは2幕の「我が心氷にあらず」。これまでどうもあの手踊りにウケてしまい、実際今回も笑ってしまったわけですが、これではいかん!と途中で襟を正して猊下の歌と表情に集中することにしました。
リシュリュー本人は多分戦いに逸る心を、神に身を捧げる者としての法悦と思い込もうとしています。しかしその正体は、所詮人間の闘争本能に根ざした狂熱への耽溺に過ぎないのです。聖戦を率いようとしている自身に陶酔し、快楽の絶頂すら覚えているかのような猊下の表情、そして響き渡る歌声にこちらもぞくぞくと高揚すると同時に、すっかり人間の浅ましさへの戦慄を覚えさせられました。
猊下、ごめんなさい。自分は浅はかでした。次回からは曲の頭からしっかりじっくり世界に浸って聴くことにします。

あと2幕の「我を信じよ!」だったと思いますが、猊下ロシュフォールに語りかける場面で1ヶ所台詞を噛んでました。噛んだというか、何か単語の途中で詰まって同じ単語を言い直していました。詰まった後1拍も置かずに素早くカバーしてたので、気づかない人は気づかなかったと思います。

追い出し音楽後の銀橋漫才には、ポルトス、アラミス、そして少し遅れてアトスにエスコートされたミレディが登場していました。本編で結ばれませんので、と言って「えー、本日は我々の為にぃ……」とアトスがボケてました、確か。
アラミスの豆知識シリーズ(?)は、同年同月の生まれ、同い年の国王と王妃が結婚後11年世継ぎに恵まれず、本作ラストで子作り宣言をしたが、実際に世継ぎが生まれたのは更に12年後であった、というエピソードでした。何故こんなことしか覚えていないんだろう、自分(^_^;)。
そうそう、ミレディが、本編では絶対言わない言葉なので、ということで、「1人は皆のために!」と客席へコールしていました。客席から「皆は1人のために!」とお応えいたしました。

終演後は、義援金箱の列に並び、井上くんに握手していただきました。どこか華奢な感じすら覚える柔らかなお手々でした。