日々記 観劇別館

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『三銃士』帝劇前楽感想(2011.8.25ソワレ)

(キャスト)
ダルタニャン=井上芳雄 アトス=橋本さとし アラミス=石井一孝 ポルトス=岸祐二 アンヌ王妃=シルビア・グラブ コンスタンス=和音美桜 ロシュフォール=吉野圭吾 バッキンガム公爵=伊藤明賢 ルイ13世今拓哉 進行役/ジェイムズ=坂元健児 ミレディ=瀬奈じゅん リシュリュー枢機卿山口祐一郎

帝劇にて『三銃士』の前楽を観てまいりました。これから楽にも出かけますので要点のみになるかと思いますが、以下、感想まいります。

1幕と2幕それぞれの序盤で改めて思ったのは、坂元さん演じる「進行役」の役割の重要性。彼があの全身紫の衣装をまとって拍手喝采で登場した瞬間、ぐぐっとあっという間に物語世界に引き込まれるのです。
もう一役のジェイムズについては、実はアトスの「クリスタルの天使」の始まる直前には既に酒場に来訪していた、という事実に「今回初めて」気づきました。何度も観ているのに下手にいる三銃士&ダルタニャンにすっかり気を取られてましたよ……。あんな目立つキャラなのに。

ダルタニャン、ちょっと声がお疲れな印象を受けました。元々ダルタニャン、アップテンポなナンバーでは、無理して美声を出すよりも荒削りなパワーが一番!なイメージで歌っていますが、今回声ののびにどこか余裕がないように聞こえました。気のせいなら良いのですが。
ただ、井上くんの演技のテンションがとても安定している(ダルタニャンとして必要なテンションをきちんと保てている、という意味です)ので、観ている間は上に書いている程には歌の調子はほとんど気にならなかったりします。

他のキャストの皆様も、お歌はほとんど万全でしたが、マチソワ公演でお疲れなのか、今日は台詞噛みも続出していました。
まず、2幕でアトスがロシュフォールに棒読み謝罪する場面で、
「さっきはごめっ……さっきはごめ……さっきはごめんねぇ!」
とカミカミで2回ほど言い直していました。そして正しく言えるまで決して動こうとせず、じっとお見合い状態で待つロシュ(笑)。後から銀橋トークでさとしさんが、
「あれはスペシャルオブスペシャルな演出です!」
と自己フォローしていましたが、井上くんに「言い訳です」の一言で斬って捨てられていました。
それからミレディも宝石箱を猊下に渡す場面で「お望むの物です」とか言っていました(正解は「お望み」)。こういうのって伝染するのでしょうか?

ロシュフォールの振付やアクションは、引き続き不自然でない程度に短縮されたり変更されたりしていました。例えば1幕の三銃士&ダルタニャンvs親衛隊とのバトルの前半で深手を負って、バトルの後半あまり動けなくなる、という状況は、以前はそんなに強調されていなかったように思います。
そして、宝石箱争奪戦でジェイムズに足を踏んづけるジェスチャー(多分「ふり」だけ)で攻撃されていたような……(^_^;;)。
ただ、2幕で猊下のもとに駆け寄る場面など、演出上欠かせない動きはこなされていたので、初見の人だったらまず気づかないだろうと思われます。

ミレディは、やはり初日〜8月前半に聴いた時より、歌がぐっと良くなっている、と感じています。
声量がもう少しあると完璧なのに、と、ドイツ版等のピア様の歌声とつい比べてしまったりもしますが、ピア様は私的に心の神棚に奉っていて別格なので、そこはあまり比べてはいけない、とも思うのでした。
ミレディと言えば、聞く所によると、オランダ版のミレディは日本版よりもう少し原作に近く、利用されるだけではない強かな女として描かれているらしいです。日本版ミレディは「悪ぶってるけど本当は健気。頑張ってるけど報われない可哀想な女」のキャラが偏って強調されてしまっているので、もし次回再演の機会があればもっと「悪くて強くていい女」像を見せて欲しいと思います。

そして、猊下!『三銃士』でお歌に不調を感じたことは自分がこれまでに観た限りなく、ずっと好調を続けていますが、とりわけ今回は歌の迫力が段違いでした。
1幕の「おお主よ」は客席を歌声で世界に引きずり込むパワーがただ事ではありませんでした。
2幕の「我が心氷にあらず」は多分自分がこれまで観た5回(前楽が5回目)の中で最高の歌声でした。先日から「猊下の手踊りで笑うな」を肝に銘じてきた所ですが、そんなことを考える余裕もなく、ただ陶然とするばかり。背筋も凍るような狂信を描いているのに、猊下自身は聖戦を信じ切っているが故にひたすら美しい歌声なのです。
「我を信じよ!」では、流石にイントロでスタンドマイクでリズムを取る姿の可愛さには、つい微笑を止められず。しかし歌が始まると再び圧倒。何と申しますか、元々歌の上手い人がひとたびロック歌唱をマスターすると、もう向かう所敵なしじゃないか!と感服せずにはいられませんでした。

演技の方でも、相手により声色を使い分ける言わば「七色の声」だけでなく、実は身長も使い分けていることに気づきました。特に1幕で国王夫妻に揉み手しまくりであることないこと吹き込む場面で、あなた一体何十cmかがんでるんですか?とツッコミたくなりました。王妃はともかく国王との身長差はさほど大きくない筈ですが、それでも階段で立ち位置が国王より1、2段下である上に、更にかがむかがむ。……そして国王夫妻に慇懃無礼であればあるほど、その後のミレディへの冷厳な態度が際立ってくるのです。
1幕の狩り場での「ブラボー、ブラボー!」「国王陛下は素晴らしいはんたぁーでいらっしゃる!」の声色は、観る度にどんどん高くなっているようですが気のせいでしょうか?ちなみに「はんたぁー」で猊下の身長が最小になります(笑)。上手袖では相変わらず「暑い暑い」と手振りをして、ロシュフォールにマントで扇いでもらっています。全くもってこの父子、じゃなくて主従の仲良しぶりといったらどうなんでしょう(*^^*)。
そしてマヌケなどこか詰めの甘い部下達、ミレディとロシュフォールの口喧嘩。どうも昨日はミ「バーカ!」ロ「カーバ!犬ーっ!」とどんどん大人げなさがエスカレートする2人(主にロシュフォール)に笑いが止まらなくなったらしく、通常は顔を付き合わせて罵り合う2人を「や・か・ま・し・い!」と引き離すべき所なのに、2人の罵り合いが止まり、顔が離れてからようやく「や・か・ま・し・い!」と叫んでました。いや、もう騒いでないし(^_^;)。そして両手を挙げて腰をふりふりさせながら満面の笑みで「私も狩りを楽しむことにしよう!」と宣言する猊下に、客席から大拍手が起きていました。

……あぁ、もう時間がありません。銀橋トークは三銃士&ダルタニャンでした。
アトスのトークは前述のとおり。アラミスの知恵袋は確か「『三銃士』の原作を上巻3分の2まで読んだ所ですが」という注釈付きで、三銃士達も実はガスコーニュ出身であること、また、ガスコーニュ〜パリ間の距離は650kmあり、日本で言えば姫路〜東京間の距離であること、を語っていました。その650kmの旅を支えたジャガイモ号は今袖で草を食んでますが(笑)、ジャガイモ号に感謝を!と締めくくっていました。ポルトスのトークの詳細は失念してしまいましたが、何故か「三銃士はジューシー、つまり水っぽいということですね」という一言だけはしっかり覚えています。確かに劇中、ポルトスのクロワッサンで汗を拭くわ、カテコに汗を拭きながら登場するわと、汗かき自虐ネタを展開しまくるアラミスはかなり水っぽいと思います!

というわけでそろそろ楽に出かける支度に取りかかります。最近なぞなぞ認証をかけているためか、こちらの書く物の質が落ちているためか、ほとんどコメントをいただいていないのですが、きっとどなたかはこれを読まれていると思いますので、また楽の感想もこちらに書くつもりです。