信=三浦宏規 羌瘣=山本千尋 龐煖=章平 河了貂=華優希 尾平=元木聖也 蒙毅=竹内將人 羌象=清水葉月 蒙武=渡辺大 摎=大塚千弘 騰=石川禅 王騎=山口祐一郎 嬴政(声)=牧島輝 カイネ=森莉那 尾到=篠崎大悟 趙荘=保土田充
今季2回目の舞台『キングダムII』を観てきました。
こちら、本当はもう少しチケットを増やしたいのですが、前週の夏休み初日に階段を降りている時に、最後の1段を踏み外し、そのまま身体が半回転して背中から床に転がり落ちた結果、尾てい骨付近を強打! 幸い骨折はしておらず、打撲で全治3週間の診断。あまりの痛みに夏休みの観劇は諦めることにしました。
それから約10日。日常生活にはほぼ困らなくなったものの、未だに痛みが残っています。今回ブリリアホールの客席に腰掛けた際には体圧が患部をピンポイントに襲い、慌てて痛み止めを服用しましたが、なかなか舞台への集中には厳しいものがありました。
そのような状況ですので、もしかしたらやっぱり今回がマイ楽となるかも知れません。以下、印象に残った範囲で、感想を述べて参ります。
座席は今回は1階席上手ブロックでした。前回、2階席では、信や羌瘣が崖から飛び降りたり落とされたりした直後に、爆速で崖下のエアマットが撤去され捌けていくのが見えるのが面白かったのですが、1階席からはその辺りは全く視界には入ることはありませんでした。
その代わり、客席降り演出が多用されているこの演目では、メインキャストや兵士たちが通路を結構な頻度で駆け抜けて行くので、そういう臨場感? みたいなものは1階席の方が味わえるように思います。
今回初見のキャストは龐煖の章平さん。東龐煖のようなゴーレムな雰囲気はあまり感じませんでしたが、ひたすら武を極めること、強い相手を倒すことしか考えていない。章平龐煖に対峙したら会話で分かり合うことは不可能で、全てを捨てて逃げるか戦うかしか道は残されていない。そんな得体の知れない不気味さと、そのような強さを追究する生き方しか選べない者の哀愁感はひしひしと伝わってきました。……何だかヒグマに出会った時の対策のような言い方ですみません。
さて、『キングダムII』はやはり王騎将軍抜きでは何も語れない訳ですが……と申しますか、彼について語らせてください。
今回、展開を一通り理解した上で改めて王騎将軍の人生を眺め直してみて、彼の「リーダーシップ」に深く感じ入るところがありました。単純に、飄々として部下に弱みを見せないだけでなく、懐が深く、命の危機に瀕しても動じず、ポジティブに堂々と振る舞う。部下への心遣いも常に忘れない。かなり「理想の上司」です。
で、そんな「理想の上司」な王騎将軍が、かつての主君の日陰の娘であり、幼い頃から手元で護り慈しんだ摎に対しては、過去の回想場面でも、現在彼女について語る場面でも、何とも柔らかな表情を向ける瞬間があるのです。萌えます。そして、彼女を失った瞬間の哀切な絶叫よ……。
更にそんな上官に寄り添って見守る騰の振る舞いも加えて、ダブルで萌えられます。王騎と騰、舞台の高みに並び立つ場面が繰り返しありましたが、この共演歴の長い2人でしか表現できない呼吸と絆と迫力と輝きが段違いなのです、本当に(誉めすぎ?)。
また、摎についても、きっといつでも王騎のそばに居られるように、日陰の姫君ではなく表舞台にて実力でのし上がったのだろうと想像しています(注:原作未読です)。あの歌は羌瘣の演舞とセットで、そんな彼女の心の切ない景色と解釈していますが、あの静謐な景色の美しさに心が洗われ、本気で一瞬ケガの痛みを忘れていました。
王騎将軍に関しては、2幕でいくつもの見せ場があるので目が離せません。特にあの場面、あちこちで出回っているのでネタバレ上等ですが、「将軍が見る景色」のフライング。あの状況にありながら、今、そこでしか、自分を慕う若者に教えられないものをしっかりと伝える場面。私の脳内にも、壮大な戦場が広がっておりました。と申しますか、前回は2階席で目の前に彼らが浮揚していて心臓バクバクだったため、今回やっとこの場面を落ち着いた心持ちで見られたような気がします。
そんな壮大な景色を見せてくれる一方で、飛信隊の尾平と尾到兄弟のような普通の兵士の物語もきちんと見せてくれるのは良いと感じています。ただ、尺や今回のエピソードの主役である王騎将軍とのバランスを考えると致し方ないのかも知れませんが、やはり秦軍に命令を下す立場の国王=嬴政も声だけでなく顔出しして欲しかったな、とは少しだけ思いました。
主演と今回の主役その2なのに語るのが最後になってすみません。三浦信はしなやかにこなすアクションも無論素晴らしいのですが、やはり、ピュアで夢に一途な少年ゆえの真っ直ぐな強さと、継承された鉾の重さへのよろめきに象徴される少しだけ大人になったことへの戸惑いとがまぶしかったです。
そして羌瘣。今回も、最初の登場場面で走ってくる所から、鳥のように軽やかで、重力の概念がないのか? と思わせる動きを見せてくれました。最初は義姉の仇討ちしか考えていない少女が、信や飛信隊の仲間との日々を通じて少しずつ解けていく、ちょっとした表情の変化に可愛らしさがあって、上手いな、と思いました。
そんなわけで、今回体調的に厳しく注意力散漫な観劇だったため、あまりまとまりのない感想で申し訳ございません。
とにかくアクションも青春ドラマも楽しめますし、何より、それぞれのファンには自明のことではありますが、改めて、山口祐一郎、石川禅というベテラン俳優の魅力が歌なしでたっぷり活かされている舞台ですので、これからご覧になる予定の方は楽しみにしておいていただければと思います。