日々記 観劇別館

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『キングダム』帝劇初日感想(2023.02.05 18:00開演)

キャスト:
信=三浦宏規 嬴政・漂=小関裕太 河了貂=川島海荷 楊端和=梅澤美波 壁=有澤樟太郎 成蟜=鈴木大河 左慈早乙女友貴 バジオウ=元木聖也 紫夏=朴璐美 昌文君=小西遼生 王騎=山口祐一郎 昌王・竭氏=壤晴彦 信(子供時代)=升谷天 嬴政(子供時代)・漂(子供時代)=古澤利空

帝劇で無事開幕した『キングダム』。幸運にも観劇することができました。

原作か映画を予習せねばと思いつつなかなかできずに時は過ぎ、ついに予習ゼロで劇場入りすることに。

ただ、見終えた感想としては。予習なしでも全然行けます、これ。ちなみにWikipediaによれば原作1~5巻辺りのお話の模様です。

もちろん読者であればもう何倍か楽しめるのかも知れませんが、古代中国という設定さえ理解していれば、見始めるとあとは主人公たちがぐいぐい引っ張って行ってくれるので、心配無用です。とにかく展開がスピーディーで飽きさせません。余韻はもう少しあっても、と思いましたが、観客に若い男性も多く(全体の3割は男性だった印象です)、性別を問わず観劇に慣れていない人もいる可能性があるので、スピーディーで多分正解なのでしょう。

王騎はあまり出番は多くないです。ただ、大事な所で現れては大音声で語り、見得を切ってカッコ良く決めてくれます。当然ながら若い人たちのように数多く激しいアクションをこなすわけでもなく、筋肉スーツなどをお召しでやや着ぐるみ感なんてのもあったりしますが、少ない動きと大音声とレーザー光で雷鳴のごとく一撃必殺、この矛はそう無駄には使わぬぞ、な感じで唯一無二の存在感をいかんなく発揮していました。これ、普段東宝ミュージカルを全く見ない、ミュージカル役者さんはテレビや配信にマメな人ぐらいを知っているかどうか、という若い観客が王騎をどう感じたか聞いてみたいです。

あと、祐一郎さんの大先輩、壤晴彦さん。王騎の主君だった王様と、王弟になびいて王を裏切る大臣の二役を演じられていましたが、声の出方や居方が段違いでした。

主人公たる信が、いかにも少年漫画の主人公らしく直情径行、正義と友情に篤いキャラクターなので感情移入しやすいです。三浦さん、『ヘアスプレー』のリンクの時とは全く異なる素朴で粗野な雰囲気で、多分配役を知らずに観ていたら同一人物とは気づかなかったと思います。

また、信は冒頭で登場した子役もとても身軽で驚かされましたが、三浦さんはそれ以上に高い身体能力で、激しいアクションをごく自然に見える感じでこなしていました。

今回個人的に惹きつけられたのは、信の親友の漂と王都奪還を目指す王様の政(嬴政)の二役を演じた小関さんです。漂は序盤で亡くなるものの、途中回想シーンでちょくちょく登場しますが、何の違和感もなく別人として見事に切り替わっていました。

政のように、不遇な過去を抱えながらも、持ち前の才覚と強い意志を武器に、見た目クールに、内心では懸命に自分自身と闘いながら目的へ突き進んでいく人物は好きです。

2幕で明かされる闇商人の女性、紫夏と政の過去の場面、原作未読でも、小さな政と紫夏たちが馬車で走り出しただけで結末が予測されてしまうのがつらく、話が進むとまさに予測どおりの展開で胸が苦しくなります。クライマックスで過去(子役)の政と現在(青年)の政が入れ替わるのは、原作準拠なのでしょうか? 泣けました。

紫夏のほか、河了貂、楊端和といった数少ない女性陣に女性感が薄く、全員イケメンキャラなのがまた良いですね。河了貂と楊端和は今回の川島さんと梅澤さんも愛らしさと凛々しさを兼ね備えていましたが、次回観る時は元ジェンヌさんペアなので、よりイケメン度が増すのではないかと期待しています。

ここまで序盤以外のストーリーには触れていないのでラストシーンにも触れませんが、後味は割と良いです。彼らの今後の物語、即ち続編が観たくなる作りになっています。できれば同じキャストで。未だ物語が完結していない長編なので難しいかも知れませんが、ぜひ観たいです。

カーテンコールでは三浦さん、小関さん、祐一郎さんからご挨拶がありました。三浦さんの、
「お客さんの顔をこれほど見たい時はないのに、戦闘中にコンタクトを落としてしまって、今、何も見えないんです」
のご挨拶に爆笑しきり。ああ、確かにアクション激しかったからねえ、その状況であれだけ動けたなんて、どれだけ身体に動きが叩き込まれてるのよ、と感心していたら、その余韻で(?)小関さんのご挨拶の内容が記憶から吹っ飛びました(小関さんファンの方ごめんなさい)。
祐一郎さんのご挨拶は、
「お父さんは幸せです」
といういつもの内容でした。以前はこういう時に「おじいちゃん」と自虐することが多かったですが、ヘアスプレーの時も役柄的にママだったとは言え、自虐に走ってはいなかったような? 最近気持ちが若返られたのか、それとも大先輩に遠慮されたのかは不明です。

なお、これまで2年以上、劇場では緊急連絡先登録と整列退場とが続いていましたが、今回の帝劇ではそのどちらもありませんでした。あまりそういう実感がありませんが、こうして少しずつ、日常が戻っていくのでしょうか?

次回は2月23日昼公演を観る予定です。無事上演されることを祈っています。そしてアクションの極めて多い演目でもありますので、キャストの皆さまの無事完走を願っております。