日々記 観劇別館

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『篤姫』第22回、23回

例によって前週放映の第22回をようやく日曜夕方になってから観ました。
数少ない味方だった阿部老中を失い、自らに課せられた密命をあえて語ることで家定の本心を引き出そうとした篤姫に向けて明かされた、家定の真実……凄絶すぎです。26人いた兄弟姉妹のほとんどは死に絶え、自らも何度も毒を盛られたが故に身体が蝕まれて長くは生きられない、儂は誰も信じぬ、と語る冷めた目つきがまた妙に色っぽくてぞっと来ました。

第23回では、篤姫が夫の本音を引き出すための小道具として、碁石と碁盤が登場しました。家定は碁を打てないので、五目並べでの対話です。そこでの会話をきっかけに対面することになった一橋慶喜は、篤姫が自分の擁立派に属する人物だと知りながら、全く本音を明かさないどころか後ろ向きな姿しか見せないため、篤姫はその器量に疑問を抱きます。
一方で、もう1人の将軍候補である紀州の少年藩主慶福は聡明であり、供された茶菓が毒入りであることを知りつつ、臣下への無用な影響を避けて不問に付す器の持ち主だったので、篤姫の心に使命と直感との間で迷いが生じてしまいます。
しかし、篤姫が悩む一方で、幾島の一橋派との結びつきが本寿院にばれてしまうのですね。ということは、慶福の茶菓に毒を盛ったのはまさか幾島の差し金なんでしょうか。でもその一方で篤姫をどうこうしようとする動きなんてのもあって、そういうハエどもも姫に見えない所でこの人が叩き落としてるのかも、と考えると、姐さん頑張れ、という気持ちになれます。

あと、尚五郎はまだ自らの中にある野心を抑えきれなくて、それ自体は別に悪いことではないんですが自分の領地のことを置き去りにしていたために、妻お近にとっくりを床に叩き付けられてぶち切れされてました。そんなに歴史ドラマや小説の熱心な読者ではありませんけど、小松帯刀をこういう煮え切らない男として描くのも、幕末の志士たちとからむ以外の時代に出てくるのも珍しいなあ、と思って観ております。彼が久光様(次の登場は7月半ばらしい)に取り立てられて以降、どう成長していくのか、やっぱりかなり楽しみです。