日々記 観劇別館

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『キングダム』大千穐楽配信感想(2023.05.11 18:00開演)

キャスト:
信=高野洸 嬴政・漂=小関裕太 河了貂=川島海荷 楊端和=美弥るりか 壁=有澤樟太郎 成蟜=神里優希 左慈HAYATE バジオウ=元木聖也 紫夏=朴璐美 昌文君=小西遼生 王騎=山口祐一郎 昌王・竭氏=壤晴彦

遅くなりましたが、『キングダム』の札幌大千穐楽(劇場:札幌文化芸術劇場 hitaru)を配信で観ましたので、ごく簡単に感想を残しておきます。

当日夕方、ぎりぎりまで仕事があり焦りましたが、どうにか18時から自宅にてリアルタイムで立ち会い見届けることができました。

数ヶ月ぶりに舞台版『キングダム』を観て、この演目、最初から最後までダレたり破綻したりがほとんどないのは実は希有なのではないかと、改めて感じていました。いまだに原作漫画は読めていませんが、きっとそれだけ原作に力があるのでしょう。

高野さんの信は初見でしたが、台詞もアクションもしっかりしていて、三浦さんに負けず劣らずはまり役と思いました。

政は結局小関さんしか見られていません。小関政は品があって好きなので良いですが、牧島輝さんが出演されるもう1公演の配信を観る時間はなく……残念!

そしてもちろんわれらが王騎将軍は、画面越しでも朗々と良く通る台詞回しで、圧倒的な強さと、その強さに相応しい絶対的な主の再臨を渇望する激しくも孤独な魂とを、決して長いとは言えない出演時間で強烈に演じきっていました。

川島さん、美弥さん、朴さん。女性陣もそれぞれに見せ場を持って好演されていましたし、小西さんら中堅どころ、複雑なアクションをこなすアンサンブルチーム、大ベテランの壤さん、祐一郎さん……。幅広い年齢層のキャスト一丸となって、完成された舞台を作り上げていたという印象です。

色々書きましたが、個々のキャストやキャラクターについてどうこうよりも、カンパニーの熱量と物語の力とが、中継ではありましたが真っ直ぐに届いてきて、それを受け止めるのが楽しかったです。後日特典の舞台裏メイキング映像を見た後付けの感想ではありますが、アクションも演技もあれだけ作り込み、カンパニーの雰囲気も悪くなさそうで。カーテンコールからも、文字通り老若男女揃ったカンパニーの温かさが伝わってきたと思います。しかもこのコロナ禍で1日も公演中止もキャスト休演もなかったというのはなかなか貴重ではないかと。

ここからは自分語りになってしまうことをお許しください。4月末の土曜日に咳、頭痛、鼻水、倦怠感ののち、夕方突然発熱し、日曜日に抗原検査で新型コロナウイルス陽性と診断され、連休最終日まで自宅療養、引きこもり生活を送っていました。

前出の諸症状、解熱後の嗅覚障害(回復済み)、謎のしつこい咳などは、まあ、諦めて受け容れるしかありませんでしたが、陽性診断の下った当日は、浦井くんの『アルジャーノンに花束を』を観に行く予定でした。チケットは発券済み、しかも夕方遅くの発熱であったため譲渡も叶わず、空席を作ってしまったのが本当に悔しくて……。ああ、こんな風に悔しい思いをした人が、この3年間でたくさんいたのだろうな、と、分かっていたつもりなのに今更ながら悟る日々。

そんなダメージを引きずった状態で観たからこそ、配信『キングダム』が余計に心にしみたのだと思います。自分の心の奥で折れていた元気の素が、舞台のパワーで温められて呼び覚まされた感じでした。

改めて、心から「完走おめでとう! キングダ・ムー!」と叫ばせていただきます。カンパニーの皆さま、スタッフの皆さま、本当にお疲れ様でした。また再演あるいは続編でお会いできる日を心待ちにしています。