日々記 観劇別館

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『レベッカ』感想(2019.1.20 13:00開演)

キャスト:
「わたし」=大塚千弘 マキシム・ド・ウィンター=山口祐一郎 ダンヴァース夫人=涼風真世 フランク・クロウリー石川禅 ジャック・ファヴェル=吉野圭吾 ベン=tekkan ジュリアン大佐=今拓哉 ジャイルズ=KENTARO ベアトリス=出雲綾 ヴァン・ホッパー夫人=森公美子

レベッカ』のシアタークリエ公演3回目を観に行ってまいりました。

今回は「おけぴ観劇会貸切」ということで、登場人物相関図やキャストの方からのトリビアコメントなどが載ったスペシャリーフレットも配布されており、ちょっとだけお得な気分になれました。

早速本編の感想にまいります。

今回のヒロインは、プレビュー初日ぶりの千弘さんでした。休憩時間を除きわずか約2時間半のお芝居の中で目まぐるしく立場が変わり、内気な娘から大人の女性へと成長を遂げるヒロインを演じる表情の細やかさは、トリプルキャストの中でもピカイチだと思います。後述のとおりマキシムとの相性も良い感じですが、同じく繊細な演技の禅フランクとの対話場面でも光っていました。

それから、先週少々声がお疲れ気味に聞こえた祐一郎マキシム。うって変わって今回は歌声に艶とくっきり感があり、すっかり元気を取り戻されているように聞こえましたし、高い声への音上げも自然で、安堵しました。

今回の祐一郎さんはマキシムという人物の心の動きに殊の外ぴったりと寄り添って、彼の言葉を大切に、そして丁寧に唇から発していたように見えました。

千弘ichとの間合いも良い感じだったと思います。「幸せの風景」では彼女を守りたいとか可愛いとか思うだけでなく、彼女の素直でひたむきな心根に癒され惹かれていく心情がまっすぐに伝わってきましたし、「こんな夜こそ」では2人の歌声が美しくハモるほどに、マキシムの心の闇と孤独に身を切られるようでした。

そして涼風ダニー。プレビューも含め今期観るのは3回目でしたが、多分3回の中でこの20日の公演の彼女が最も恐ろしかったです。

1幕でキューピッドを壊したヒロインを詰問し、嫌みの言葉を浴びせる場面から既に総毛立ちました。なお、この場面、最初の新婚カップルの幸福感とその後の緊張感、そしてすれ違うカップルの寂寥感とのギャップが激しいだけに、舞台上の3人の誰が崩れてもいけないのですが、3人の間合いが本当いい感じだったと思います。

全篇を貫くレベッカと一心同体の揺るぎない愛情と、2幕で覚醒する前のヒロインを異物として排除しようとする断乎とした態度。強そうでありながらその実とても脆い(多分レベッカも同じ)。そんな涼風ダニーの感情が劇場を支配する瞬間が確かにありました。

 ……何だか、「良かった」ばかりの感想になってしまいすみません。でも今回、本当に満足度が高すぎて、それ以上の言葉が出てこないのでした。涼風ダニー、好みではない、と言っていた筈なんですけどね。おかしいなあ。

なお本公演のカーテンコールでは、貸切公演につき祐一郎さんの舞台挨拶がありました。ゆったりとした口調のご挨拶の途中で懐から、「うちの玄関に飾ってある」という触れ込みの「おけぴ観劇会」のミニのぼりがするすると出てきたので、客席は笑いの渦に。何でも出てくる祐さんポケットはもうお約束ですね。そして、本公演が新年初レベッカだった方々に向けての「あけましておめでとうございます!」の一言が! ありがたいことです。

次回は2月。桜井ichと、久々にして最後の保坂ダニーを観る予定です。インフルエンザなどでダウンしないよう気をつけつつ祈っております。