日々記 観劇別館

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『ダンス・オブ・ヴァンパイア』帝劇千穐楽感想(2015.11.30)

キャスト:
クロロック伯爵=山口祐一郎 アルフレート=良知真次 サラ=舞羽美海 アブロンシウス教授=石川禅 ヘルベルト=上口耕平 シャガール=コング桑田 レベッカ阿知波悟美 マグダ=ソニン クコール=駒田一  ヴァンパイア・ダンサー=森山開次

TdVの帝劇千穐楽公演を観てまいりました。
ただ、当日もこれを書いている現在もあまり体調が万全でなく、心の目をぱっちり開いて観ることが叶わなかったので、以下、ごく簡単な感想のみとなります。

キャストはサラ以外は前回観た21日ソワレと一緒でした。
ただ、前回もヴァンパイア・ダンサーズがお一人休演していたと思いますが、千穐楽でもお一人(五十嵐さん)が休演されていました。そのためか、ラスト近くに登場する狼は僅か2頭になっていました。もちろん人間を襲うには2頭でも十分ではありますが、あれなら狙われた人は逃げ切れるかも知れないな、とちらりと考えてしまった次第です。

帝劇楽の伯爵は、これまで観た4回の公演の中で最も迷いがなく、自己肯定感が高いと感じられました。
特に「迷いがない」という印象を抱いたのは「抑えがたき欲望」です。殺戮の歴史に痛みや哀しみを覚えつつも、最後は「欲望こそが最後の神になるのだ」と自らの来し方と自己の存在を力強く肯定する姿には、誰もそれに逆らうことのできないオーラが漂っていました。

今回ひときわ目を引いたのはソニンマグダでしょうか。「死んじゃうなんて」の迫力がただ事ではなく、しばし釘付けになりました。その場面の前まではマグダはひたすら引きや受け身の演技をしていて、あのソロで抑えていた感情が一気に解き放たれ、マグダの本心が白日の下にさらされます。もっとも、その後すぐにヴァンパイアにされてしまうわけですが。
爛れつつも抑圧された日々を送っていたマグダは、ヴァンパイア化することで魂の自由を得たのかも知れません。きっと、シャガール以上に。

楽日ならでの舞台上のお遊びとしては、1幕でヘルベルトが良知アルフに自らのサングラスを掛けさせていました。
あとは教授と良知アルフの霊廟での掛け合いの尺が若干長めになっていたと思います。これは楽日スペシャルではなく以前からかも知れませんが、良知アルフ、教授から、
「池の鯉みたいに口をパクパクさせやがって!」
と突っ込まれ、
「鯉って100年生きるんですかね?」
「鯉のヴァンパイアっているんですか?」
などと色々口走っていました。鯉のヴァンパイアって一体(^_^;)
……全くの余談ですが、学生時代に学校の近所にあった公園の池の鯉はまさに「抑えがたき欲望」に満たされていたと思い出しました。ただしヴァンパイアだったかどうかは定かではありません。
それはさておき、教授と良知アルフ、あまりに掛け合いが長かったので、直後に登場したシャガールに、
「おまえらまったりし過ぎだよ!」
と突っ込まれていました。
良知アルフ、改めてソロを聴くと「この血ぃひさへもおぉぉぉ」のように少々発音が独特で、「あれれ?」と思うところもありました。でも、総体で見て、声も台詞の滑舌も良く、純粋で熱血だけどお調子者で頼りないアルフを熱演かつ好演していたという印象です。
ちょっと残念だったのは、舞羽サラです。声量は十分ですし、ある程度高音も出ているのに歌声が伸びず響かず、余裕も全くない感じでした。千穐楽でお疲れだったのかも知れませんが、キャラクターは「天然自惚れ娘」な雰囲気がたっぷり漂っていて良かっただけに惜しかったですし、心配でもあります。

クコール劇場は、多分既に千穐楽恒例だと思いますが「蛍の光」にのせてお掃除していました。クコールさんは掃除を終えると舞台袖からプラカードを持ち出して手持ちで掲示。プラカードの表の文句は「クコール劇場東京千穐楽」裏は「大阪・名古屋に続く」でした。

スペシャルカーテンコールは、駒田さんの司会で進行。良知くん、舞羽さん、禅さん、そして山口さんからご挨拶がありました。
舞羽さんのご挨拶は、「来年大阪と名古屋でお会いできるのを楽しみにしています」というものでした。いつも思うのですが、宝塚OGの方のご挨拶は滅多に「はみ出る」ことがないのです。決して悪い意味で言っているわけではありませんので念のため。
良知くんのご挨拶の内容は、15年ぶりに帝劇の舞台に立ち、その時はジャニーズJr.として堂本光一くんの『Millennium Shock』に出演し、光一くんのピンスポットの木漏れ日の中で踊っていたが、今回ソロを歌ったり、禅さんとアドリブを演ったりと、思い入れのある劇場に大好きな作品で出演できたことへの、キャストならび観客への感謝を表すものでした。
禅さんからは、肌を露出して踊るダンサー達のために、何の段差もささくれもない舞台を作ってくれる大道具さんへの労いの言葉、そして、その舞台に3回も出演できたことへの感謝の言葉が述べられました。
トリの山口さんからは、
「またこの劇場でお会いできる日を心から祈っております」
というありがたい一言がありました。それを聞いて、
「私、またいつかこの劇場で伯爵様と踊るのね?」
と呟いておりました。
詳しい内容は公式ブログに映像が載っているのでそちらで確認いただければと思います。

カーテンコールの最後は、昼公演でしたが帝劇楽ということで事前にサイリウムのブレスレットが配られ、例の如くヘルベルトの振付指導付きで「モラルもルールも真っ平〜」と盛り上がりました。
何度かの再お出ましの最後に、舞台袖に来ていた沙也加サラも登場し、山口さんにハグされてました(^_^)。

以上、まとまりがなくて申し訳ありませんが、帝劇楽の感想でした。
次回は、予定変更がなければ、名古屋大楽を見届ける予定です。お正月早々の大阪公演は観る予定がありませんので、よそ様の観劇レポートを拾い読みするなどして楽しみたいと思います。