日々記 観劇別館

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中日劇場『M.クンツェ&S.リーヴァイの世界〜2nd Season〜』(2012.3.17ソワレ)

キャスト:
山口祐一郎 新妻聖子 土居裕子 石川禅 井上芳雄 一路真輝 ほか <スペシャルゲスト>パトリック・シュタンケ <司会>武岡淳一

幸運にもミューコン中日劇場公演のチケットが2公演分確保できたので、名古屋に遠征。名古屋公演は3月17日マチネからでしたが、前日は仕事なのでそこから観るのは、北関東在住者には流石に無理(^_^;)。というわけで3月17日のソワレから観てきました。

劇場のお席は上手前方から5列目。オペラグラス不要でした。
まず山口さん、やはり声が絶好調ではない感じですね。パトリックや井上くんの声と比べると響きが弱いと感じられます。
しかし、クリエの時とは段違いにお元気でした。
特にコロレド猊下。私がクリエで見た時は「猿でも!」では叫んでなかったのに、そのフレーズで思い切り絶叫してました。ちょっとしたポーズや表情に漂う俺様な色気も健在。
「闇が広がる」での井上くんとの二重唱では井上くんの声に山口さんの声がかき消されていました。ただ、昔のエリザのCDを聴いてみても、割と井上ルド、山口トートの声をかき消してるのですね。この2人の並びをトート&ルドルフで観られるのは、遅れてきたファンとして大変ありがたいのですが、実はこの2人の声、元々そんなに相性抜群ではないと思っています。なので、この件に限っては元々声量のある井上くんが、年月を経てますます声量がアップした結果であり、山口さんの声量がダウンしているため(だけ)ではないと解釈しています。CDでしか井上ルドを知らないので、贔屓目に過ぎないかも知れませんが。
全体に、山口さん、東京で観た時と異なり声に全身に力が漲ってる感じがしました。
もしかしたら音響さんもかなり頑張ってくれてるのかも知れませんが、響きや伸びは多少弱くても、声に芯の強さが戻ってきた印象で、嬉しいです(^_^)。

一路さんは地元だからでしょうか?どこかのびのび歌っている感じがしました。
レベッカ」で初見時ほど違和感を覚えなかったのは、耳が慣れただけではないと思います、多分。
「私が踊る時」は今回も相性抜群でした。歌い終えた後、山口さんが満面の笑みを一路さんに向けるのが、もうツボでツボで(^_^)。

聖子ちゃんは「わたし」のソロがクリエの時ほどきつくなく、だいぶ柔らかくなっていました。折角上手い人なので、このまま、もっと幅広い役どころを違和感なくこなせるようになって欲しい、と願っています。

そして今回楽しみにしていたのは、東京では聴けなかった井上くんの歌です。
井上くんは2幕から登場。彼の歌をほぼ半年ぶりに聴きましたが、やはり育三郎くんと年期が違う!と思いました。
特に「影を逃れて」。何だか表情に色気が増していて、大人になったねえ、と感慨に耽りました。
井上シカネーダーはちゃんと見せ場たっぷりに作り込んできてました。育三郎くんのように吉野さんのお婆ちゃん魔女声を真似て歌っているわけでもないのに、見ててメリハリがあるのは井上くんの方なのが不思議です。

パトリックについても少し書いておきます。
1幕での登場時に確か名古屋弁の「ありがとう」だったかな?を言ってて、後から登場した聖子ちゃんに「私が何度も教えたのに名古屋弁上手くないですねー」と突っ込まれていました。
東京では育三郎くんが歌っていた「ミルク」は今回はパトリックが担当。パトリックルキーニ、違和感0でした。強いていうならパトリックがドイツ語で歌っているのだから、アンサンブルコーラスも日本語ではなくドイツ語にして欲しかったです。
それにしても、トートもヴォルフもルキーニも、そしてフェルセンも、何でもオールマイティにこなせるパトリック……凄いです。体型はちょっとドスコイですが、歌えない綺麗どころよりは歌声が綺麗な方がずっと良いと思います。

それから、これは梅芸公演からだそうですが、ラストの全員合唱の前に一曲追加されていました。
昨年の震災犠牲者の方々の追悼という趣旨により、モーツァルトのレクイエムから「涙の日」を土居さん、井上くんにアンサンブルさんという布陣で合唱していました。
お二人は芸大で声楽をやってらしたので、課題でモツレクを歌ったことがある(井上くん)、学生時代福島の小学校で歌を披露したことがある(土居さん)などの経験があるそうです。
土居さん「井上さんと同級生です(笑)」井上くん「少しだけ先輩です」などのやりとり。
井上くん、「土居さんの時の課題は何ですか?あ、同級生でしたっけ」等と黒いツッコミを入れてました。

ラストの「影を逃れて」の全員合唱では、山口さん、井上くんと禅さんの間で2人の肩を姿勢を正すようにぽんぽんと叩いて労ってみせて、客席の笑い声を呼んでいました。ああ、もう、なんて可愛いおじさんなんだ!
というわけで、今日はこれからマチネ公演を見届けてまいります。