日々記 観劇別館

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『帝劇ワンダーランド』

2月16日に『ゾロ』を観に行った帰り、帝劇の窓口で、『帝劇ワンダーランド ~帝国劇場開場100周年記念読本』を購入してまいりました。
資料の前半には「帝劇と私」と題した、森光子さんを筆頭に、現在の舞台に立つ、そして少し前の時代の帝劇を支えていた役者さん方の談話集が掲載されています。
我らが山口さんも、ページ全面の全身写真入りでご登場。黒ずくめのスーツでポーズをきめて立つ姿を、あおり気味に撮影した写真は、息を飲むほどにダンディーです。
談話の内容は、舞台復帰作であったレミゼの思い出など、いつもの謙虚さがにじみ出ていました。人生初帝劇は幼少時に観たフランキー堺さん、とのことですが、それはもしかして映画館時代の出来事?と推測しながら読んでいました。
中程には、帝劇の図解や簡単な歴史、帝劇のエポックメイキングであった代表演目、レミゼの、歌唱指導Billyさんらによる日本初演秘話や、浦井健治くんのルドルフ出演時の舞台裏1日密着取材などの企画記事が掲載。
そして後半は、帝劇の上演史を年表や写真でまとめた資料集です。
細かい所にはほとんど目を通せていないながらも実感したのは、「劇場は時代により移ろいゆく」ということです。新劇、歌舞伎、音楽会、オペラ、バレエ、映画何でもありだった初期から、宝塚歌劇の登場、和物中心の商業演劇、そして菊田一夫氏らにより種が蒔かれ、芽吹き、今や帝劇を支える大樹へと成長を遂げていったミュージカル。年表を眺めると、数十年前は頻繁に上演されていたのに、今めったに上演の機会のない作品もちらほら見受けられます。
つまり、現在の帝劇で繰り返し上演されている作品の中にも、年月を経てキャストが替わったり、やがて時代の要請に応じて上演の機会が少なくなるものが出てきたりするということです。これは、旧作に取って代わる新しい名作が誕生する以上、当たり前の事実なのですが、だからこそ、今、この時代に生きている自分が観られる作品を、しっかり目に心に焼き付けて置きたい。そう思うのです。
まあ、その焼き付けた先の自分も、いずれはこの世界から消えていくわけですが……(^_^;)。