日々記 観劇別館

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甦る『パイレート・クィーン』

先週水曜日に梅田芸術劇場に注文した『パイレート・クィーン』のパンフが昨日郵便で届きました。
帝劇のパンフに載っていた稽古場写真がない代わり、帝劇の舞台写真がたくさん載っていて楽しいです。こうして見るとティアナンのメイクって意外に濃かったんだ、等と思いつつ、1幕序盤のティアナンの白い歯を見せた満面の笑みに和んだりしています。
しかし土曜日のFCイベントのせいで、どうしても余計な邪念がこびりついて拭い去れずにいます。例えば、確か演し物の中に「顔は黒いけど手は真っ白」というティアナンへのツッコミがあったなあ、等思い出すと笑いが止まらず困っております。
また、社長さんへの質問コーナーで、
「ティアナンはラストであんなに老けてヒゲまで生えて、捕まってから一体何年経ってたんですか?」
というのもありました。社長さん、微笑みながら、
「ご想像にお任せします」
と無難に返してました。
自分としては、あの船を修繕して一族の生き残りを集める時間を換算してもせいぜい数ヶ月間の出来事だと思ってました。何せ7年間散々血を流しまくった闘争が、僅か2時間暖炉の前で会談しただけで全クリアされてしまう世界の話ですし:-p。

ところでグレイスは何だって軽蔑の対象であるダーナルの子を産むつもりになったのかとずっと考えてました。いえ、もちろん「尊敬する父上の遺言を守るため」という大きい理由はあるのですが、「胤は別にティアナンだって良いじゃないか」と友人に言われて、うーん、そう言う見方もあるか、とも思いましたし。
でもきっと、一族のため、そして対イギリスタッグのために心ならずもティアナンを裏切った以上、人倫に背くやり方は、特に16世紀の人であるグレイスにはできなかったんだろう、と解釈しています。史実のグレイスの話を見ると、オフラハティの血を引く(一族の財産を手にする権利のある)子も必要だったんじゃないか?という気もしますが、それはあくまで史実上の話であって劇中のグレイスにどれだけ当てはめられるかは何とも言えません。
それに、百歩譲って例えグレイスが迫ったとしても、ティアナンの方で拒んでしまったのではないでしょうか。物語の上でその方が美しくまとまる、というわけではなく、あのティアナンの性格設定――武術は決して強くないがなかなか油断ならない我慢強さの持ち主(身贔屓でしょうか(^_^;)?)――ならきっとそうするに違いない、と考えております。

以上はあくまで私の解釈であって、観る人により色々な解釈があって良いと思います。演じる側でも山口さんがそういう解釈で演じていたとは限りませんし、保坂さんやその他の皆様についても目指すゴールは共通なれど解釈は微妙に違っていた可能性だってあります。それが演劇という名のライブの面白い所です。
それに演出でも山田さんはある程度の形さえ決まれば後はお任せっぽいですが、下手にどす黒い世界観を出すタイプの演出家が担当しなくて今回は正解だったように思います。まあ、ケアードさん辺りが演出してたらどうなったかなあ、と考えたことはありますが。