日々記 観劇別館

観劇(主にミュージカル)の感想ブログです。はてなダイアリーから移行しました。

『ダンス・オブ・ヴァンパイア』感想(2009.8.25ソワレ(前楽))(伯爵&アルフレート篇)

クロロック伯爵=山口祐一郎 サラ=知念里奈 アルフレート=泉見洋平 アブロンシウス教授=石川禅 ヘルベルト=吉野圭吾 シャガール安崎求 レベッカ阿知波悟美 マグダ=シルビア・グラブ クコール=駒田一 伯爵の化身=新上裕也

ということで、ちょっと仕事が立て込んでましたが、かなり無理矢理抜け出てTdV前楽(泉見アルフ・知念サラ楽)を観てまいりました。

1本の記事には書ききれないので最初に書いておきますと、

  • 伯爵はやっぱり凄い!
  • 知念サラでもう1回ぐらい観ておくんだった!

というのが今回の2大感想です。

初めに、今回の伯爵から。
前回観た時の状況が状況だったので軽く不安でしたが、始まってみたら全く心配することはありませんでした。いえ、お声の調子は決してベストではなかったかも知れませんが安定感は前回と段違いでしたので。
今回実は1階S席の後方ではありましたが伯爵登場通路席でしたので、大きなのっぽの伯爵が通り過ぎていく時に手の甲をマントがかすめていきました。表面がややざらついたごく普通の布でした。
「神は死んだ」では前半トート閣下の「闇が広がる」のように不気味な猫なで声で始まり、徐々に甘く切なく歌い上げていました。
今回はきっと大丈夫、と確信したのは「おまえを招待しよう」の時。オケのテンポに焦って付いていく感じだった前回とは逆に、オケに合わせる気が全くなく、お前等が付いてこい、と言っているような歌いっぷりで、ああ、いつもの伯爵だ、と嬉しくなりました。
1幕終盤では、泉見アルフがこれまでの3倍ぐらい気持ちを込めて伯爵にうっとりしてきているのに応えるがごとく、アルフをじっくり包み込むように温かく歌っているみたいに見えました。
2幕の「夜を感じろ」やコウモリ羽根での再登場場面では割とあっさりしていましたが、久々に歌の力で呆然とさせられたのは「抑えがたい欲望」。ただ朗々と歌い上げるのではなく、欲望に振り回されて生きていく自分自身を諦め達観している気持ちが切々と伝わってきて、気づいたら伯爵の内面世界に引きずり込まれていました。マントを2回翻して伯爵が去り、教授達が姿を現してやっと我に返ったような始末です。こういうことがあるからやはり舞台は面白いと思いました。
舞踏会でもカラ元気な印象は微塵もなく、最後まで余裕で決められていたと思います。ちなみに吸血シーンは知念サラでもちひろサラと同様、かなりあっさりでした。

続いて、忘れないうちに、以下、今回千穐楽を迎えた泉見アルフについて書いておきます。楽ということでご本人もかなりスペシャルなことをしてましたし、他キャストにも相当遊ばれていたので、これは書き残さねば!と。ほとんど観察日誌状態(笑)です。すみません。

まず、1幕の「スポンジ最高!」の場面で、7月の最初の頃、下半身が男の子な反応をする仕草をしていたのをしばらく止めていましたが、今日、ちょっと後ろ向きになってその仕草を復活させていました(^_^;)。
次に、宿屋でシャガール(実はマグダ)を串刺しにしようとする場面で、「6番目と7番目の何の間だ?」と教授に問われて「肋骨です!」と答えるまでに、今回わざとかハプニングかは分かりませんが通常よりちょっと間がありました。
で、教授、本来はすかさず「正解!」と答える所を、「鈍い!ちゃっちゃと喋って!」とツッコミを入れてました。

また、終盤のお城への道中で、通路途中で教授と泉見アルフが顔を見合わせて、
「うう、寒い!ぶるるるるるるる」
と2回ほど震え合っているのを目の当たりにすることができました。
お城に入れた後には、出迎えたヘルベルトが通常はアルフにお尻を向けて荷物を持ち上げようとして非力でできない、という演技をしますが、今回はヘルベルトが一旦荷物を持ち上げたまま180度回転してアルフの方に向き直り、じっと股間を見上げるというポーズを取っていました(書いててかなり恥ずかしい)。
そして、伯爵の感想にも書きましたが、終盤の伯爵との交流の演技が本当にじっくり丁寧で、お互いの感情が溢れかえっていて素晴らしかったです。

2幕の霊廟場面では、教授が降りられなくなって助けようとする際、泉見アルフは真下からジャンプして手が届きません、なポーズをするのですが、今回は教授に「もう3回ジャンプしてみろ!」といつもより余計にジャンプさせられていました。
あと、串刺しに失敗した後に、
「でもできません!」
と言いつつ身体をくねらせ、教授に、
「クネクネするんじゃない!」
と怒られてましたが、この会話は今回に限らず前からあったと思います。霊廟の去り際に再び教授に説教された時は、
「そんな所から飛び降りようとするからいけないんですよ!」
と口答えしてました。これも前からだったかは記憶がありません。

「サラへ」は、サラに冷たくされてもそれでも僕はこんなに好きでたまらないんだからいいんだ!的な、完全に自己陶酔なんだけど、サラのことを考えてるだけで本当に幸せなんだなあ、いいなあ、と思わせてくれる歌い方で、これもまた素敵でした。

ヘルベルトとのダンスでは、上手〜!と言われるペアダンスの途中でステップを間違え、下手くそ!と罵られた上、舞台に逃げ帰ってきた後には、
「もっと踊りの練習しよう(^_^)」
と言われてました。
コウモリ伯爵と再会する場面では、腰を抜かし悲鳴を上げつつかなりの高さで飛び上がって後ずさりしてました。よくもあれを見て伯爵は吹き出さないものだと変なところで感心。
今回気づいたのは、ラストで泉見アルフはモンスターに変貌してしまった直後の一瞬ですが「サラとようやく同じものになれた」という充実感のある表情をしているということです。人類的には知りませんが彼的にはこれはハッピーエンドなのだ、ということが良く分かります。

泉見アルフの特別カーテンコールの挨拶では、確か、
「今回(再演に当たり)曲を聴いた時、3年前とは違って聞こえた。お客様にも多分3年前とは違う風に聞こえたと思う。自分も歳を取ったんだなと思った。でも気持ちは3年前と同じ若いアルフレートのままだ」
というようなことを語っていたと思います。
また、知念サラは確か、
「初出演の自分を導いてくれたキャストの皆様、スタッフの皆様、そしてお客様に感謝しています」
と語っていました。
この辺かなりいい加減なので、そのうちリー子ちゃんが公式ブログに映像を上げてくれたらチェックいただくのがよろしいかと思います(^_^;;)。
いずれの挨拶も、見守る禅さんの眼差しがとても温かかったのが印象に残りました。

カテコについて先に書いてしまいましたが、知念サラやヘルベルトやクコールの感想を何も書いてなかったので、多分後で書きます。