日々記 観劇別館

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『ダンス・オブ・ヴァンパイア』感想(2009.8.22ソワレ)(2)

22日の伯爵の大作詞は多くの方の衝撃(笑撃?)を呼んだようですが、感想の続きに行きます。
まず、作詞以外の伯爵ですが、(1)のゆんさんのコメントにもあるとおり、1幕からあまり調子が良くなさそうに見受けられました。
「神は死んだ」では、綺麗には歌えているのに、どこかオケのテンポに乗り切れていないように聞こえました。「お前を招待しよう」でも同様で、時間に迫られて焦りながらサラにお誘いをかけているように見えて、全然余裕がないように感じられました。飛び去っていく時に通常なら声を長く伸ばしているのに、それも微妙に短くて、あれ?と違和感が。
1幕ラストのロングトーンは力強く、2幕最初のサラとのデュエットでもさほど違和感を覚えなかったので、気のせいかと安心していたのですが、よもや要となる「抑えがたい欲望」で壊れてしまうとは……。
その後の舞踏会からは開き直ったのかどうか分かりませんが、いつもの颯爽とした伯爵で、カテコでも溌剌とされていました。帝劇楽まで残り5公演。今日の調子がちょっと心配な所です。

伯爵が壊れていた分、浦井アルフは盤石の純情お笑いキャラでぴたりと決めてくれました。
やはり教授とのコンビが良いですね。霊廟で伯爵退治に失敗して階上に戻った後、ぴーぴー泣いて教授に「泣かない!」と諭されるのが可愛かったです。
歌の方では、「サラ」で劇場中に響き渡る声が、聴いていて実に心地よかったです。お城行きやヘルベルトからの逃亡の時にギャーギャー叫ぶ声も、同じように劇場中に響き渡っていたのは流石にうるさかったですが(でも可愛い)。

ちひろサラは、今回2階B列の上手から観ていたのですが、1幕の初登場シーンでヌーブラが両胸ともバッチリ見えていました(笑)。いえ、決してそこだけ見ようとしたわけではないのですが。
彼女はいつも堂々と安定していて、めったにハプニングも起こさないのでこれまであまり書くことがなかったのですが、声の伸ばし方が綺麗で好きです。浦井くんもそうですが、初演のCDと聞き比べると本当、上手くなったなあ、と思います。
でも、2幕ラストでアルフレートを噛んだ後に豪快に血まみれになっている口元を見る度、もうちょっと綺麗に付けられないものかとも思うのです。25日に2度目にして最後の知念サラを観るので、彼女もあんなに豪快なのか、チェックするつもりです。

作詞事件で忘れかけてましたが、1幕でシャガールに軽微なハプニングがあったのを思い出しました。マグダの血を吸った後に彼女を台の上に運び、布を掛ける場面で、教授&アルフレートがもう部屋に入ってきているのに、上手く全身に布を掛けられずにマグダの片足が出てしまっていてまた掛け直したりと、軽くもたついていました。結局ぎりぎり間に合ってましたが、あれは教授達も少し焦ったのではないかと思います。
もういくつかシャガールメモ。1幕の夜這い失敗で奥様レベッカが殴りかかる棍棒を真剣白刃取りしていました。あと、カテコではレベッカに殴り倒されてました。初日の頃はどうしても綺麗に歌い上げてしまってましたが、昨日はもうすっかり飄々と、でも音は外さず決めるところは決めるという歌い方になっていました。安崎さん、多分、今回の公演中に最も演技が変化した役者さんの一人ではないかと思います(もう一人は禅さん)。

ヘルベルトは昨日も父上に噛み付き未遂していました。その後でアカンベーするのが軽く甘えっ子な感じで可愛らしいです。
お風呂では両方の掌を頭の上に掲げて、ウサ耳を作って登場していました。口調はウサギではなく普通だったと思います。それにしても、アルフレートを襲う前に一瞬彼の背後に隠れるだけで牙を付けられるのは凄いですね。アルフレートが逃げて戻ってきた時の台詞は「騒ぎすぎ!」でした。

そうそう、クコールがそろそろ1幕終盤で遊びを入れてくる頃かな、と思ったのですが、まだ普通でした。
クコール劇場は、うちわと小さな箒を駆使して見事にお掃除。その後、
「ああ、寒い、ブルブルする。ブルブルす?ブルす……ブルース!」
とやおら箒をギターにして、憂歌団の「おそうじオバチャン」の替え歌で「おそうじオジチャン」を歌ってくれました。1コーラスの前半だけでしたが、後半の歌詞はあの場には適切でない気がするので、前半だけでも十分満足です。

カテコでは、新上さんがびしっと決めポーズで登場した後、クコールやマグダも同じようにポーズを決めていたのが笑えました。伯爵が何か妙なポーズを決めたらどうしようと軽く緊張しましたが、普通にお辞儀されていたのでほっとしました。

まだ書き足りない気もしますが、以上、22日のレポートでした。