日々記 観劇別館

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『ダンス・オブ・ヴァンパイア』感想(2009.8.22ソワレ)(1)

クロロック伯爵=山口祐一郎 サラ=大塚ちひろ アルフレート=浦井健治 アブロンシウス教授=石川禅 ヘルベルト=吉野圭吾 シャガール安崎求 レベッカ阿知波悟美 マグダ=シルビア・グラブ クコール=駒田一 伯爵の化身=新上裕也

TdVを観るのも残り2回。今日は浦井アルフ・ちひろサラの見納めだし、伯爵の化身(私だけの呼び名は「ダンス伯爵」です)は今期初めての新上さんだし、観るところがいっぱいあって忙しそう、と思いながら観劇に臨みましたが……。すみません、またまた作詞王・山口さんがやってくれたので、まずはその話題から入ります。
2幕の「抑えがたい欲望」の1コーラス目の牧師の娘を愛して殺して苦悩する歌詞の後半に差し掛かった時の出来事です。伯爵が突如「うっ!」と呻いて一瞬言葉に詰まり、その後1コーラス目の最後の16小節+αぐらいの歌詞が壊れてしまいました。壊れた前半の歌詞は言葉は繋がっていますが意味不明(と言うか私自身がドキドキして聞き取れず(^_^;))、後半はうろ覚えですが確か、失う全てを求め続けてる〜♪とか歌っていたように思います。
2コーラス目は何事もなかったように持ち直し、作詞することもなく、最後のクレッシェンドでは罪滅ぼしか照れ隠しのように素晴らしい音伸ばしを披露されていましたが、私、すっかり作詞に動揺してしまい(笑いを堪えていたとも言います)、伯爵の背後で踊る新上さんをあまり身を入れて観ることはできていません。

その新上さん。初演の時にも何度もダンスを観ている筈なのですが、あまり記憶に残っておりません。従って今回、ほぼ初見も同然です。
森山さんのダンスのイメージが「疾風」だとすると、新上さんのダンスはどちらかと言えば「凪」という印象です。森山さんのダンスに漂っているような疾走感やほのかな狂気は薄いですが、踊り方が実に端正で、故に舞踏会妄想ダンスも悪夢ダンスもどこかロマンティックさを湛えています。
そう言えば、つい最近、森山さんの「抑えがたい欲望」の苦悩溢れまくりのダンスについて、常にコメントが辛口の友人から「ヤク中」という評価をもらった所です。あのダンスが気に入っていた者としては、むぅ、とむくれつつ、痛く納得できる部分もあったりしたわけですが。そういう意味では新上さんのダンスは「ヤク中」度は低いと感じました。

と、お二人の比較はしてみましたが、ダンスのタイプが全然違うので、比べるのは本当はナンセンスだなあ、と。それぞれであまりに違うヴァンパイア・ワールドを作り出しているから、後は観た人の好みや価値観にひたすら依存する問題だと思うのです。

個人的には、どちらも受け入れられるけれど、歌伯爵が属性として持たないものを補完してくれるという意味では、森山さんのダンス伯爵がしっくり来そうです。

まだもう少し、伯爵のことも他キャストのことも書きたいのですが、疲れたので後で。感想(2)に続きます。