日々記 観劇別館

観劇(主にミュージカル)の感想ブログです。はてなダイアリーから移行しました。

『ダンス・オブ・ヴァンパイア』感想(2009.8.2ソワレ)

クロロック伯爵=山口祐一郎 サラ=大塚ちひろ アルフレート=泉見洋平 アブロンシウス教授=石川禅 ヘルベルト=吉野圭吾 シャガール安崎求 レベッカ阿知波悟美 マグダ=シルビア・グラブ クコール=駒田一 伯爵の化身=森山開次

こんにちは。公式ブログの映像(eyevio映像へのリンク)のポニーテール伯爵にすっかり萌え死んでおります。
「8月もみんなでやってまちゅ〜」
ってその綺麗なお姿のまま言われても……って、もう慣れましたが。

さて、昨日、2日連続で劇城に詣でてまいりました。
今回の座席はM列どセンターでした。TdVの場合はどの場面で何が起きてもセンターにいれば大体見渡せる上、伯爵の歌声を真正面からたっぷりと浴びることができるので、美味しいお席だったと思います。
小雨が降るなど若干ぐずつき気味のお天気だったためか、劇城内の空調が利きすぎていて寒いぐらいでした。少なくとも、泉見くんの汗がポタ落ちせず、他のキャストより若干多め程度に留まるほどには涼しかったです。お陰でお腹が冷えてしまいました。

というわけで、以下、感想です。

まず、今回の伯爵の出番ですが、最初から最後まで作詞等もなくご無事でした(他に言い方はないのか(^_^;))。いや、伯爵が「神は死んだ」を無事歌い終えるまでこんなに緊張したことはなかったです。

「お前を招待しよう」でクレーンから降りてきて、顔の前でマントを持った両手を素早くクロスさせてマントをばさっと広げるポーズを、初めて真正面から観ました。何であんな格好良い決めポーズができるんだろう?あ、役者さんだからか。すみません山口さん。
山口ファンの友人が、
「あのマントの奥で必死でクレーンの手すりを握ってるかと思うと萌える」
と言っていたことがありましたが、本当にそうだなあ、と思いながら、高速で飛び去っていく伯爵を見送っていました。
あと、1幕最後のアルフレートとのやり取り。これは昨日の浦井アルフの時もやってましたが、アルフレートの髪や頬を撫でた後にあごをちょいと一本指で触るのが好きです。泉見アルフは伯爵に囁かれてもあまりデレっとしない代わり、眼差しがどんどん真剣になっていくのが可愛いです。

2幕の「愛のデュエット」では、踊り場でサラを待つ時の嬉しそうな表情を見やりつつ、つい長い手指を観察していたら、中指の根元に何か輪っかがはまっているのを発見。え?指輪なんかしていたっけ?と数秒間いぶかしんだ私でしたが、正体はあの長いマントを引っかけるための輪っかでした(^_^)。
「抑えがたい欲望」の最後のロングトーンで、あれ?途中で一瞬音が途切れた?という箇所があったのが気になりましたが、それ以外はひたすら劇城中にびんびん響き渡る歌声にただ圧倒されていました。お声の調子自体は全体に艶も弾みもありましたし、全編通してかなりパワー全開で歌い、そして演じられていたと思います。流石休演日前。

次に泉見アルフ。1幕プロローグでちょっと声が出ていないかな?と思いましたが、本編に入ってみると全然そんなことはありませんでした。

純粋無垢な浦井アルフに対し、スットコドッコイ感は泉見アルフの方が強いと思います。1幕で教授の足を温めるマグダの胸元に注目しながら無意識に前のめりに彼女に近づき、しかも両手をモミモミ体勢にしているのはその良い例です。
でも、スットコドッコイな一方でやや要領の良いところもあり、2幕の悪夢の後で泉見アルフは教授に霊廟探訪出発を命じられる直前に、一口だけスープを口にできています。浦井アルフはやっと口に入れかけた時に教授に出発を命じられてしまっているので、いつも気の毒に思いながら観ています。
ルフレートが泉見くんの時は教授との掛け合い漫才のテンポの速さが楽しいです。例えば霊廟で、伯爵に打とうとした杭を投げ出し、
「できませーん!」
と泉見アルフが身をくねらせながら上手袖で叫ぶやいなや、教授が、
「クネクネするんじゃなーい!」
と間髪を入れず突っ込むといった具合です。
今回泉見くんの「サラ」を聴きながら考えたのは、浦井くんの場合は「冷たくされてもサラを信じるアルフ」だけれど、泉見くんの場合は「冷たくされても自分のサラへの愛を信じるアルフ」なんじゃないか、ということです。何だか、サラが冷たいのは良く分からないけど、僕は彼女を愛しているから大丈夫だよ、と自分に言い聞かせるように歌っているように聞こえるのです。歌い方も泉見くんの方が少しだけお兄さんな情感が込められているように感じられるのですが、気のせいでしょうか。

続いて教授についても少しだけ。
今回、2幕の「サラ」の後に図書室で再登場して「分かったか?」とアルフレートに問いかける場面の後の台詞部分で、マイクトラブルが起きてしまい、一瞬台詞が聞き取りづらくなるというハプニングがありました。歌部分での発生でなくて本当良かったです。
教授が禅さんになってから大きく変わった演技は「超音波鳥落とし」等いくつもあるんですが、1幕でレベッカにぶん殴られた後の退場の仕方も違っています。
市村教授の退場はバレエのようにくるくる回って踊りながらでしたが、禅教授の退場はダンスではなくて、ハラホロヒレハレなコントっぽい動きになっています。どちらが善し悪し、ではなくて、どちらも大変愛らしいのですけれど(笑)。

そして、本日のお風呂場のヘルベルト。
両手を招き猫状態(カーテンコールのダンスと同じポーズ)にしてネコニャンポーズで登場してました。ついでにアルフレートに語りかける台詞も、
「待って、僕達お友達になれると思うニャン」
と何故かニャンコ口調に。
ヘルベルトに詩の本を咥えさせたアルフレートが逃げ出す場面で、文字化不可能な浦井アルフの悲鳴と違って、
「何で僕がこんな目にあわなきゃならないんだー!」
等の意味のある悲鳴を叫びながら泉見アルフが舞台に戻ってきた後、いつもと違う台詞を語りかけてた気がするのですがど忘れしてしまい残念。お疲れさま、だったかな?とにかく労うような台詞です。
その後の教授との応酬はいつもと一緒だったと思いますが、泉見アルフが、
「女に振られたと思ったら今度は男か!」
と教授にいじめられ、
「違いますよ何言ってるんですか向こうが先に手を出してきたんですよ!」
と立て板に水で反論したら、教授、全く同じ口調で、
「あーそうですかそんなことより行きますよ!」
と言い返してました(^_^;;)。

前後しますが今回のクコール劇場。
クコールが充電式のハンディクリーナーを手にして現れ、「こりゃ楽でいいわ!」とあっという間に紙吹雪を吸い込んでいく、というネタだったのですが、何と途中でクリーナーが動かなくなってしまいました。どうも本当にハプニングだったようで、クコール、懸命にスイッチを押したりしていましたが、結局スタッフさんうちわ貸してーと一旦下手袖に戻り、最後の仕上げだけうちわでやってお掃除完了していました。
そう言えばクコールの2幕の朝の演技が微変更されてました。と言っても、アルフレートに顔を合わせてギャー!と悲鳴を上げられた後に「イヤーッ!!」と泣いていたのが「バカーッ!!」に変わったというそれだけではありますが。

そして伯爵の化身。
彼のダンスを真正面から観るとまた違う迫力がありました。「悪夢」でのソウルフルなアクションや、「抑えがたい欲望」で歌う伯爵と踊る伯爵を同時進行でくまなく観られるのが嬉しかったです。
この他には、1幕の妄想ダンスの最後で、マントで自分の全身をすっぽりくるみ、その状態からばさっ!とマントを大きく翻して風のように上手側へ去っていくポーズがいつ観ても綺麗に決まっていて格好良いです。
カーテンコールでは森山さんがヘルベルトのように側転して舞台に登場したので感嘆の声が上がってました。
公式ブログによればエンディング、カテコでのダンサーズの衣装が最近リニューアルされたようですが(プリンシパルの衣装には変更無し)、森山さんの衣装しかチェックしていない私(^_^;;)。
森山さん、確か7月は胸をはだけた黒の長袖シャツに黒のロングパンツをお召しだったと思いますが、8月は黒のシースルーの長袖ボレロに黒のロングパンツ、裸の胸に細身の黒いベルトがクロスしているという衣装になっています。7月のものよりも手の長さ、指の長さが強調される衣装です。
ここまで感想を書いてきて気づいたのですが、どうも自分は「綺麗な手」と「マント」に弱いらしいです。だから今回山口さんだけでなく森山さんにもはまっているのかも知れません。森山さんに、と言うより森山さんの演じる「伯爵の化身」に、と言った方が正しいでしょうか。
そう言えば、森山さんの伯爵化身はあと1回しか観られないのだと、昨日帰り道で気づいて寂しくなりました。次回、心して目に焼き付けてきたいと思います。

……はっ、仮にもヒロインのサラのことを1つも書いていない。というか、ちひろサラ、安定しすぎていてツッコミ所がなかったりするのですが。シャガール夫妻とマグダも同様です。