日々記 観劇別館

観劇(主にミュージカル)の感想ブログです。はてなダイアリーから移行しました。

『ダンス・オブ・ヴァンパイア』感想(2009.7.19マチネ)

クロロック伯爵=山口祐一郎 サラ=大塚ちひろ アルフレート=浦井健治 アブロンシウス教授=石川禅 ヘルベルト=吉野圭吾 シャガール安崎求 レベッカ阿知波悟美 マグダ=シルビア・グラブ クコール=駒田一 伯爵の化身=森山開次

ここ数日来の腰痛に悩まされつつ、2日連続の観劇です。そして今期初の浦井アルフ。今期のTdVを初めて観る友人と一緒に観ました。
友人の感想も、今期は皆歌が上手くなった、と概ね好評だった模様。ただ、ご本人はまだまだ「好青年」で通るというのにあまりにもご高齢の教授になりきりまくりの禅さんには複雑な思いを抱いているようです(^_^;;)。
というわけで、以下、浦井アルフと伯爵中心ですが、本日の感想行きます。

[本日のアルフレート]
プロローグの歌声が綺麗な高音でありながら骨太な響き方になっていて、ああ、上手になったなあ、と改めて感慨深かったです。
1幕の「ニンニク」で軽いハプニング発生。凍り付いた教授をお湯に浸けるために脱がせた靴下をまた手渡そうとしてすっ飛ばしてしまい、教授から、ホレ、靴下拾わなきゃ、と突っ込まれ、一瞬照れ笑いをしてました。
浦井アルフ、初演ではひたすら真面目だけど軟弱なアルフレートという印象が強かったです。今回もマグダに小道具のつぶて(石ではない)を投げつけられて虐められたりして、その性格付け自体は変わらないわけですが、それだけでなく演技に遊びをたっぷり利かせていたので意外でした。
特に2幕。霊廟潜入の場面で、最短距離で飛び降りようとして動けなくなった教授から助けを求められた時、小柄な泉見アルフはひたすら床下からジャンプして教授を捕まえようとするのですが、浦井くんは床下から上の踊り場にとびついて懸垂で教授の元へ進もうとして、腕力がなく果たせないという変化球な動きをしていました。
そして、伯爵串刺しに失敗し、できません!と絶叫する場面で、
「恥ずかしいです!……でもね、できないの!」
と可愛らしく主張。
更に、
「私の後を継ぐのは百年早い!」
と説教する教授に対し、
「百年経ったら死んじゃってるじゃないですか!」
と口答えしてみたりして、この子ってば、教授ともども本当に口ばっかりで、何て可愛いんだろう、とすっかり情が移ってしまいました。
泉見アルフは泉見アルフで、頭の中が必要以上に煩悩に満たされた中二病度が高そうな純情ぶりが好きなのですが、顔が王子様系であるが故に煩悩剥き出しの似合わない浦井アルフも良いなあ、と再認識した次第です。

ヘルベルトに襲われる場面での泣きわめきっぷりはかなりパワーアップしていました。今日、私は2階B列で観ていたはずなのですが、通路を逃げまどう間ずっと、
「ギャー!助けて◎%$#×■○△!」
という浦井アルフの悲鳴が劇場中に響きわたっていて、姿は見えないのに爆笑させていただきました。舞台に戻った後、
「廊下はお静かに!」
とヘルベルトに注意されてましたが(^_^;)。
そうそう、ヘルベルトを撃退した教授から、
「女に振られたからって今度は男か!」
と言われた時の台詞は確か、
「違います!」
だけだった筈ですが更に、
「当たり前じゃないですか!」と反論していました。

もう一つ泉見アルフと対照的な面としては、ラストでヴァンパイア化する瞬間、泉見アルフは一気にダークサイドになだれ込んで行きますが、浦井アルフの場合、あの軟弱で優しげなアルフレートの成分を残しつつ自然にダークサイドに並行移動している感じがして、それはそれでぞっとするものがありました。

[本日の伯爵]
毎回、見飽きることがありません。
「神は死んだ」の登場シーンで青め・暗めの照明効果もあるとは思いますが、出てきて厳かな声で歌うだけで静謐な空気が作り出されて気が引き締まります。
でもマイベスト伯爵歌声は、お風呂場でサラを誘惑したり、舞踏会で居直って欲望剥き出しにして、さあ諸君、よい知らせだ♪と歌う時の声だったりするのですが。
「諸君、ディナーだ」と号令を掛ける時の妖怪変化な声色もかなり好きです。

それから、1幕ラストで、確か泉見アルフは髪の毛だけすっと撫でていた気がしますが、浦井アルフは髪、頬をしっかり撫でていたように見えて、これはやはり汗の量の違い?と泉見くんにかなり失礼なことを考えてしまいました。
「抑えがたい欲望」ではラストのロングトーンがいつになく滑らかにクレッシェンドされていて、凄い!と感動。
しかーし。その部分の歌詞に何かもぞもぞと違和感が。違和感の正体は、観劇後に別の席で観ていたほかの友人から、
「伯爵が作詞していた」
という通報があり判明しました。
「尽きない欲望こそがこの世界で最後の神になるのだ」
を、
「尽きない欲望こそが最後に残る神なのだ」
とか何とか歌っていたようです。あまりにも自然すぎて、しかもご本人が顔色一つ変えず堂々としているので、私だけで観ていたらきっと「何か変」だけで終わっていたと思います。ありがとう、教えてくれた友人。

[本日のヘルベルト]
お風呂場にて両手で浴槽の縁をつかみ、浴槽から首だけ出した状態で登場していました。
「あなたの瞳に映して!ちょっとだけでいいから噛ませて!」
とアルフレートに襲いかかった後の教授とのかけ合いは18日とほぼ一緒でしたが、教授に対して父上に言いつけてやる!と悪態をつきお尻ペンペンした後は、
「お前の父ちゃんデーベーソー!!」
と教授から罵倒されながら去っていっていました。
それから、クライマックスで父上から襲撃の号令がかかった後、ヘビっぽく舌をちらちらさせて舌なめずりをしているのに気づいてしまいました。メイクがメイクなので、意外と怖いですよ。

[本日のクコール]
教授達の逃亡時に十字架をどけなかったのは、やはり一刻も早く彼らを追跡することを優先させたに違いないと、クコールをオペラグラスでじっと見て確信しました。
クコール劇場では、また「かあさんの歌」「ふるさと」を流しつつ母からの手紙の朗読をやってました。どうも本当に「マコールさん」がG列で観てらしたようです(^_^)。

[本日の伯爵の化身]
ほかのヴァンパイアダンサーの皆さんと同じ振付で踊っている時、当然動きのタイミングはぴったり合っているのに、何故か1.5倍ぐらい動きが速く見えます。不思議です。
また、フィナーレとカーテンコールの時に舞台の端からセンターへスライディングしてくる姿がびしりと決まっています。

[おまけ]
その1:2幕終盤で伯爵が、「奴らをここへ連れ戻せー!!」と叫びつつ下手袖に捌けていく時、実はさりげなく3回転ぐらいしていたことに、観劇4回目にしてようやく気づきました。レミゼでのコゼット回しと同じく、意外と(失礼)綺麗にくるくると回っていました。
その2:終演後、隣席の方が「あの動き……凄いよね!」と森山さんのダンスを絶賛していました。それを聞いて「でしょでしょ?」と嬉しい気持ちになりました。