日々記 観劇別館

観劇(主にミュージカル)の感想ブログです。はてなダイアリーから移行しました。

『レベッカ』感想(マキシム篇)(2008.6.27マチネ)

というわけで、6/27のマキシムについてまとめて書きます。と言っても、彼の一挙一動を記憶するよりも、これで見納めだから、と堪能する方に力を入れていたので、あまり細かい仕草等は相変わらず覚えていないのですが……。

今回は、全体に高値安定なマキシムだったと思います。
1幕の白スーツ姿では、やっぱり3ヶ月間で痩せたよなあ、と思いながら背中を見守っていました。他のキャストの方が公演の後近隣で飲み食いされている、といったお話(6/27のコメント欄参照)など伺ったりすると、この人ちゃんとごはん食べてるのかしら?とか余計な心配をしてしまいます<それより自分の家族のごはんの心配をちゃんとするように。

「わたし」にプロポーズしてリトルコゼット回しして涙を拭いてあげる場面のこぼれるような笑顔。何度観てもこの場面に差し掛かると、あー、若い彼女が新鮮で可愛くて仕方ないのね、と、ついつられて顔がにやけてしまうのです。
チェスの場面では前回(6/21)同様、ためらいなく「わたし」のおでこにキスしてました。前回は音もなく、でしたが、今回はチュ、と音がしてました。
マキシムの歌の中で、楽曲としては「愛とは何か」が一番好きかも知れません。何故なら山口さんの声質の良さが最も生かされているように聞こえるから。山口さんと言えば声量を生かしたバズーカ、ロングトーンのイメージが強いですが、こういうしっとりと情感を込めて歌う曲にも合っているのだと思います。
また、前回速過ぎ、と感じたすれ違いは、今回はさほど速いとは感じませんでした。やはり日によってタイミング等違うのでしょうか。100回公演の時はこの場面で泣けたらしく、歌い出す前にこっそり鼻をつまんで絞っていた、と、今回一緒に観た友人から聞きましたが、今回はそこまでの感極まりはなかったように思います。
「神よ何故」のトレンチきっちり着付けやオーバーアクションを目にすると、どうしても口元が綻んでしまいます。あの場面のアクションが必要以上に大きく見えてしまうのは、山口さんの問題というより、歌の最初から最後まで、舞台の隅々まで煌々と明るく照らし続ける、つまり役者の動きも隅から隅まで隠さず映し出す照明演出の問題なんじゃないか、と思うのは所詮ファンの贔屓目でしょうか?
舞踏会でのマキシムの動きは6/21に手を振ったり拍手したりとかしていたのと対照的に、やや抑えめな印象を受けました。顔の前で両手二本指でチョメチョメする仕草は健在でしたけれど(笑)。
1幕エンディングで「わたし」を怒鳴りつけた後、しかめ面して彼女にそっぽを向いて(何て可哀想な「わたし」)、右の掌を広げて顔半分を隠してしまう姿が何故か、『エリザベート』の1幕ラストの扇で顔を隠すシシィに重なって見えてしまいます。全然違う状況だというのに。

2幕に入り、「凍りつく微笑み」では、やはり6/21程感情に流されず、でもマキシムの悔恨と狂気はたっぷり染み渡ってくる、円熟味のある歌を聴かせてくれました。事件の後に♪微笑みながらー とレベッカの死に顔を思い出すくだりで、崩れそうな自分を支えるように抱き締める仕草が印象的でした。で、その後壊れたボート(?)に座り込んで、まだ「わたし」が自分を愛してくれると分かった瞬間、がっくりと頭を落とし、「わたし」の腕に包まれた瞬間、強く深く両腕で「わたし」にしがみつく姿には、何度観ても情感があって引き込まれます。でも上で嬉しそうに微笑むベンの姿も見逃したくないので、いつも暗転するまできちんと2人を見守れないのが残念です。
これに対して、駅に「わたし」を迎えに行って抱擁する場面は何度観ても段取りくさいのですが、あの演技がマキシムという人物の不器用さを表現しようとして故意になされているものなのか、それとも情感を出すよりもちひろちゃんを綺麗に見せるポーズ取りに力を入れているだけなのか、あるいは演じているご本人が実生活でその手のシチュエーションに慣れていないだけなのかは不明です。
(以下は妄想。いくら何でも慣れていないわきゃないだろ、と思いますし、稀少とは言え過去の恋愛の噂だって聞いたことがありますが、意外とあの容姿故に、既に相手がいると思われて実際に女性からお声がかかったケースが少ない、というのもありかも、とも思えるのです。以上、妄想終了。)

火事の場面では、歌い出す瞬間に微妙に手を動かす以外は、無駄な動きがほとんどなくなったのは安心したような残念なような。前回のようにロングトーンで声が引っかかるようなこともなく、大迫力で歌い上げていました。
エピローグでは、後ろからよぼよぼと歩んできて、2回「わたし」の腕を突いて振り返らせてから肩を抱いていました。年老いて妻に頼るというより、こんな所でどうした?さあ、風も冷たいし家に帰ろう、と妻を我に返らせているような、そんな感じ。そして遠くを見つめる目は悲しげでした。

通常のカーテンコール、そしてエンディング演奏後のお出ましでは、もうシルビアさんとちひろちゃんとの3人での登場が定番になったのですね。3回位3人で出てきてくれました。3回目だかに、ちひろちゃんとだけ手をつないで、シルビアさんを仲間外れにして、すねるポーズをするシルビアさんの手をちひろちゃんが取って、再び3人で退場していき、それでカテコ終了だったかと思います。ちなみに最後の退場前は、左手をちひろちゃんとつなぎながら、右手を膝にきちんと置いて可愛らしくお辞儀してました。
公演はあと土曜2回、日曜1回、楽日1回と4回分残っていますが(これを書いている段階では残り2回となりました)、これで本当に、普通の人間役の山口さんは舞台ではしばらく見納めなんだな、と思うと寂しい限りです。

おまけ。今回は金曜日でマチネ上演のみだったので、帰りに、山口さんが付き人さんと社用車(?)に乗り込んで去っていく所までお見送りすることができました。少し距離が離れていたので本当に見守るだけでしたが、取りあえず前髪がぱっつり切られたボサボサ頭に爽やか笑顔と、白の長袖シャツに黒っぽい細身のジーンズか何かをお召しということだけは確認しました。顔も身体も、舞台で観るよりもっと細いように見えました。余分な肉がどこにもない……。少しは見習わなければ。