日々記 観劇別館

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『篤姫』第25回

家定と篤姫が、本寿院の露骨すぎる妨害を乗り越えて、見ている側が気恥ずかしくなる程に絆を深めていく様子は見ていてほっとするのですが、家定が倒れるなど着々と別れの日が近づいているかと思うと寂しくもあります。
今回の場合、本寿院が決して悪者に描かれていないのが良いです。でも、夫に会う為に土下座し続ける篤姫の姿を見て、「これではまるで嫁をいじめているみたいではないか」と言う場面では「いじめてるんだよっ!」と思わず突っ込んでしまいました。
本寿院が家定にこれまでの養育の苦労への感謝を述べられて訣別される場面では、『エリザベート』のフランツとゾフィーの訣別を思い出した私。もっとも、本寿院の涙は家定の愛情を真正面から受け止めた上でのものだし、物語の上ではまだまだ幕府の為に活躍していく立場なので、ゾフィーの底知れぬ孤独と絶望とは全く異質のものなのだけれど。

それから、薩摩の大久保が、出世街道を昇っていく親友西郷への嫉妬に苦しみ、母上の前で自分が「鬼になる」宣言をする場面。文字通り鬼気迫るものがありました。その息子に対して一個も動じず「それなら私は鬼の母親じゃな」と返す母上も大物だと思いましたが。
これからどうやら尚五郎だけでなく大久保も結構面白いことになりそうです。鹿賀さんが大久保を演じた『翔ぶが如く』辺りを、もう少し大久保視点で見ておくんだったと悔やんでおります。