５回目にして５月最後のレベッカ観劇でした。トークショーでも話題になっていたとおり、もう3ヶ月公演の折り返し地点を過ぎたのですね。早いなあ。
パンフが舞台写真入り（\1,800）になっていたので購入。マキシムのプロポーズ成立時の笑顔とかオデコキスシーンとか告白シーンのズダボロ姿とか美味しい場面はあらかた入ってる上、稽古写真も残っているので山口さん好きには大変お得かと思われます。嫌いな人は無理して買わなくて良いかも。
今回、ちひろちゃんの顔が少しむくんでる気がして心配でしたが歌声はいつもどおり安定していました。
ダンヴァース夫人は２幕途中までは氷の表情だけど、キューピッドを破壊された後から少しずつ泣きの表情を見せるようになります。信じていたレベッカの偶像が虚像であったと知った後の、最後のレベッカリプライズでは目に涙をいっぱい溜めてるのが分かりました。泣きが入り過ぎに思える位です。
実は２幕のヨット引き上げのアンサンブルの合唱とそれに合わせて展開される芝居の展開が、緊張感溢れていて大好きです。とりわけ、トレンチコート姿がよく似合うファヴェルが盆に乗って下手から上手に向けて時計回りに移動してくるとわくわくします。「俺はね、人の不幸を見るのが大好きなのさーなんですよー！」と皮肉たっぷりにうそぶく場面なんて、吉野さん、こんな所でまでそんなに艶っぽくしなくても、と思いつつ喜んで見ている私は、所詮ただのミーハー。
また、いつも２幕の審問会とファヴェルの恐喝の後半でマキシムばかり観て、特に下手で客席に背を向けて斜め立ちしている時の背中〜腰〜腿〜すねのラインをガン見してしまうので*1、今回できるだけ他の人物の演技を観るようにしていたのですが、まー、ファヴェルが表情豊かなこと。例えば審問の冒頭でレベッカ遺体発見の顛末を聞いている時はやたら沈痛な顔をしている癖に、マキシムが形勢不利になってきたら眼を輝かせてにまにましているし。また、恐喝でうきうき踊りまくったかと思えば、ダンヴァースにレベッカの愛情を否定された途端とても寂しそうにするし。結構可愛い所があります。
さて、今回のマキシム。
つくづくマキシム、１幕では割と酷な男だと思います。だってあれはどう見てもおぼこな娘さんをだまくらかしてます。その手口がまた、朝食の席でのナンパだの世慣れない青年のように不器用なキスだのとってつけたようなので笑えるわけですが*2。とは申せ「わたし」が求婚を受けてくれた時の表情は本当にこぼれるような素敵な笑顔で、例えその時点では「わたし」の存在が自分を変えるきっかけに過ぎなかったとしても、その笑顔に象徴される思いだけは、後に様々な事件が起きた中でも一貫して信じて良いのかな、と思わせてくれるのは救いです。
でも「わたし」が一番誰かに話を聞いてもらい助けて欲しい時に、甲高い声で*3ぶち切れたりして何もしてくれない男、それがマキシム。以前も書いたとおり以前ほどはマキシムを嫌いじゃなくなったし、萌え所も掴んだけど、お前もっと何とかしてやれよ、と背中をどつきたくなるのは一緒です。「わたし」はマキシムの告白を聞き、彼（と、彼との愛）を守るために彼女本来の強さを目覚めさせていくから良いと言えば良いのですが、マキシムの方は結局助けてもらう一方だから不公平だなあ、とか。まあ、でも、彼女もある意味マキシムの告白を聞かなければ成長しなかったことになるわけだし、そこで収支は取れていると考えて良いのかな、とCherryCYさんが書かれたマキシム達の「共依存関係」を思い浮かべながら考えを巡らせたりしてました。
22日は山口さんの演技がまただいぶ自然に柔らかくなってきた印象を受けました。足捌きも綺麗でしたし、何より「神よなぜ」で流れをぶった切るように胸を叩く仕草がなくなっていました。
「凍りつく微笑み」の狂乱ぶりも歌い方を少し崩しにかかってきたこともあってか凄みを増しています。いつもオペラグラスを使って観ているのに、この場面でマキシムがメイクを変えていたのを、パンフの舞台写真を見て初めて気づいたという体たらくです。唇が紫色になっています。告白の後の抱擁ではマキシムは心なしか受け身な感じで、「わたし」に抱き締められた後そっと彼女の背中に両手を回していました。
後、前回書いた終盤のファイヤーソングでのカウントするような指の動きは、今回はありませんでした。ただ、左手指をゆっくりと軽く開き気味にする動きが歌い出しとシンクロしてるのは確かです。
カーテンコールはトークショーもあるし短いかも？と思っていたら普通に計５回出てきてくれて嬉しかったです。平日ソワレということで終演は21:30。トークショー開始前に帰る方がちらほら見受けられましたが、交通機関の関係上やむを得ないと思います。
