日々記 観劇別館

観劇(主にミュージカル)の感想ブログです。はてなダイアリーから移行しました。

CD『心を込めて...』(本田美奈子.)感想

1ヶ月以上前に帝劇で入手したまま封を切っていなかったアルバムを、ようやく聴くことができました。
心を込めて...asin:B000EOTGDE
約20年前にアイドル時代の美奈子さんの歌を何度もテレビの歌番組で聴きましたが、そんなに好きな声ではありませんでした。一時期の彼女の細い体躯にそぐわないセクシー衣装への違和感も手伝って、どうも、声量に任せて押しつけがましく力任せに叫び倒すような歌い方になじめずにいました。
しかし、2年前の彼女の死の前後にテレビでやっていたVTRを見て、昔感じた押しつけがましさが無くなっていたことに驚き、舞台で観られなかったのが惜しい、いつかCDでも良いから聴いてみよう、と思っていたのがようやく実現したというわけです。

前置きが長くなりましたが、以下、CDの感想です。
全13曲のラインナップは3分の1がミュージカルで、残りの大半は英米のポップスや映画音楽でした。
私個人の好みのツボに大はまりする歌声ではないものの、『マイ・フェア・レディ』の「踊りあかそう」や『レ・ミゼラブル』の「オン・マイ・オウン」等、叫び倒すことなく柔らかく優しい発声で、大変聴きやすかったです。「見上げてごらん夜の星を」や「Lovin'You」といったスタンダードナンバーも、力まない心地よく耳に染み入る歌声でした。
ただ、彼女のミュージカルデビュー作でもある『ミス・サイゴン』からの1曲「命をあげよう」は、ちょっと彼女の昔の悪い癖である叫び倒しが残っていました。他の歌を聴く限り、彼女の声域では叫ばなくても十分声が出そうなので不思議に思いましたが、恐らくこの曲への思い入れが格別であったことの裏返しだと推測します。
「つばさ」は良い曲ですね。先日岩崎宏美さんのカバーも聴きましたが、オリジナルである美奈子さんの歌も凛として力強くて良かったです。

美奈子さん、出来れば、生で一度歌声を聴きたかったです。存命なら40歳ということで、また違う円熟していく声が聴けたことでしょう。