日々記 観劇別館

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『レ・ミゼラブル』感想(2007/8/19マチネ)

ジャン・バルジャン山口祐一郎 ジャベール=岡幸二郎 エポニーヌ=知念里奈 ファンティーヌ=渚あき コゼット=富田麻帆 マリウス=泉見洋平 テナルディエ=駒田一 テナルディエの妻=森公美子 アンジョルラス=岸祐二 ガブローシュ=新井海人

この土日は、土曜日は有明の某イベントで買い物、日曜夜から出張のため飛行機で移動、と個人的に結構ハードスケジュールを組んでしまったのですが、駒田・森の組み合わせのテナ夫妻および泉見マリウスが見納めということで、これは見逃すわけには行くまい、と重たい旅行カバンを背負って帝劇に出向きました。
本日のジャベールは岡さんでした。最後に岡ジャベを観たのは7月1日、ここ3回ほどは今さんが続いていたので、つい今ジャベと比較してしまうわけですが、どうも今ジャベの方が汗水たらしてバルジャンを追いかけてるイメージが強いように思います。では岡ジャベがクールかと言うとそうではなくて、バルジャンと対峙するたび異様に嬉しそうなのが彼。ついでに言えば、地下水路でバルジャンを見逃す道を選んだ後に、「この俺としたことが、ば、ばかな……!」という一番アイデンティティを見失った表情をしているのも、それから、以前も書いたような気がしますが、歌声が最も山口バルジャンと綺麗にハモっているのも彼だと思います。今さんの張りのある歌声も大好きなんですが、こればかりは声質の問題かと。
個人的に残念なのは、岡ジャベ、病院での対決シーンでの警棒の構え方が、初めからバルジャンに負けることが丸分かりだということ。このシーンは、もしかしたらバルジャンに勝っちゃうかも?と思わせるような、全身に隙のない警棒の使い方をしている今ジャベの方が好み。禅さんと阿部さんの警棒の使い方は……あまり覚えていません(^_^;)。後、物語時間が前後しますが、ファンティーヌを足蹴にする場面。今ジャベは足元にまつわりつくゴミなんかに構っていられない、と払い落とすようにしていますが、岡ジャベはいかにも汚い物に触るのもイヤ、と本気で蹴りを入れているように見えて、そこまでばっちがらなくても、とつい思ってしまいます。

山口バルジャン。「独白」の歌声が、ファンのひいき目抜きで益々神がかってきているのはどういうことなのでしょうか。突出しすぎた歌唱力故に見逃されがちですが、何だか全然楽譜通りに歌っていないように見受けられ、あれについていくオケピも大変そうだと聴く度にしみじみ考えています。
テナルディエ宿屋の取引シーンでは、いつもテナルディエの頭にお札を叩き付ける前に椅子をひっくり返しているのですが、今回はコゼットを連れて行く直前にもう一度椅子をひっくり返していました。駒田・森コンビも「ファンティーヌ死んじゃったぁ〜」の嘘泣きがパワーアップしていましたし、一体東京楽ではどんなことになるのかと、観に行く予定も無いのにどきどきしています。
山口バルジャンだけでなく、泉見くんも本日神がかっていた1人です。実は、あろうことか一番盛り上がる2幕の後半で軽い眠気に襲われてしまっていたのですが、「カフェソング」が本当に泣いているような熱く激しい歌声で、一挙に目が覚めました。これで迎えに来るのが歌の弱い富田コゼでさえなければ(暴言)、もう少し感動が尾を引いたような気がします*1
歌を頑張れと言えば知念エポ。「オン・マイ・オウン」のサビで微妙に金切り声でがなっているように聞こえるのは何とかして、と思うのは前回と変わりありません。ただ、初見時よりはだいぶ聞き慣れました。正統派歌唱のエポがつまらんと思う人は、場合によっては好みかも知れません。
それから、岸アンジョルラス、久々に観ましたが、前回よりカリスマリーダーらしくなったように見えました。上背もあり、意外と立ち姿も綺麗。岸アンジョはマリウスが撃たれた時に駆け寄るけど、しゃがみ込んで取りすがりたいのをぐっとこらえて*2、グランテールに一瞬目配せをしてまた砦のてっぺんに突撃していくのが何とも悲しいです。

子役ちゃん達も健闘しています。本日のリトルコゼットとリトルエポニーヌは高橋りかちゃんと佐藤瑠花ちゃん。りかちゃんはボロメイクでもはっきりした顔立ちで声もよく通ります。瑠花ちゃんはコゼットにアカンベする時両手で目をべーっとするのが憎たらしいけど可愛いです。ガブローシュは前回に引き続き海人くんでしたが、今回は以前観た時のように元気に声を出していました。何度もあったカーテンコールの一番最後に、1人だけ先に走って前に出てしまって、あわてて後ろに下がってお辞儀していたのが可愛かったです。

そしてアンサンブルについて。どういう訳かコンブフェールが見るたびずっと菊地まさはるさんなので*3、別にファンでも無いのにコンブフェールだけは各場面の役替わりがだいぶ識別できるようになってしまいました。と言っても、台詞のある工場長、ファンティーヌが捕まえられそうになる場面の群衆、それからマリウスの結婚式のお客ぐらいですが。菊地さん、顔はあまり冷静沈着な参謀には見えないけど(かなり失礼)、歌声で場を引き締める力は流石でした。
グランテールは6月17日以外ずっと松村曜生さんが多かったのですが、今回は伊藤俊彦さんでした。6月のグランテールの記憶は皆無に等しいので、実質今回が初見に近いかも。伊藤さんの印象としては、安心して歌を聴いていられるグランテールだと感じました。他のアンサンブルの方も今日はほとんど音が外れることも無く、安定している方ばかりで、もしかしてアンサンブルもローテーションによって当たり外れがあるのでは?と思わずにはいられません。

さて、早いもので自分のレミゼ観劇も残すところ1回、山口バルジャン前楽(8/25ソワレ)のみとなりました。博多座遠征の予定は無いので、泉見マリウスと駒田テナルディエにもう出会えないのは残念ですが、8回目の鑑賞にして原田アンジョルラスに初対面の予定。何事もなく無事見納めできることを心から願っております。

*1:でも富田コゼも初見時よりは上手くなっていると思います。声量は無いけど。

*2:他のアンジョ(東山・坂元)はマリウスー!と口パクで叫んで取りすがっていた筈。

*3:キャストスケジュールを観たら、どうやらWキャストの近藤大介さんには最後まで巡り会えない運命らしいです。