日々記 観劇別館

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『レ・ミゼラブル』感想(2007/8/12ソワレ)

ジャン・バルジャン山口祐一郎 ジャベール=今拓哉 エポニーヌ=新妻聖子 ファンティーヌ=渚あき コゼット=辛島小恵 マリウス=泉見洋平 テナルディエ=三谷六九 テナルディエの妻=森公美子 アンジョルラス=坂元健児 ガブローシュ=新井海人

またまたJCSとマチソワだったレミゼ。今回の初見キャストは泉見マリウスと渚ファンテ。お久しぶりは三谷テナルディエと海人ガブローシュでした。そして聖子エポニーヌは東京千穐楽
渚ファンテ、歌う時息継ぎ一回ごとにブレス音をさせてたので、そんなに肺活量ないのかな?と気にしながら観ていました。声は可愛くて割と好きなのだけど。それでも、気の強そうな印象の方の多い今期の新ファンティーヌの中では最もか弱いキャラクターを作り上げることが出来ていると思います。他のファンテだと臨終の場面でまだ体力が有り余っている感じなのですが、渚ファンテの場合、ごく自然に息を引き取っていました*1
歌が弱いと言えば、いきなりですが松村グランテールの歌も弱めです。お願いだから数少ないソロ(特に1幕終盤の「民衆の歌」)で音は外さないでー!と思いつつ観てました。演技は普通にこなされているだけに勿体ない気がします。1幕終演後トイレに並んでいたら「グランテールとフイイ(の歌)が駄目なだけでこんなに云々」という声が聞こえてきました。ただ、個人的にフイイ(石井さんという方だそうです)の歌はそこまでアウトじゃないよな、と心の中で反論しておりました。この2人は動きの多い役なので必要以上にアラが目立ってしまうのかも知れません。

閑話休題。話を初見キャストに戻します。泉見くん、昨年TdVで演技上手いなあ、と思いつつ観ていましたが、ホームグラウンドであるレミゼでマリウスとして観るのは初めてでした。随所で細かい演技を見せてくれるのは流石という他ございません。バルジャンの屋敷の門柱を乗り越えてコゼットに出会う場面で、さりげなく洋服のホコリをパパッと払って澄ましてみせたりするのが何とも純で可愛らしい泉見マリウスなのです。クアトロキャストのマリウスの中で最年長なのに、あの初々しさはただごとではありません。そしてこれは結構有名な話のようですが、エンディングの「民衆の歌」で天国の仲間たちの歌声にはっと気づく素振りを見せるマリウスは、どうやら泉見くんだけらしいです。その前に「カフェ・ソング」で自分だけ生き残ってしまった、とえぐえぐ泣いてるところを観てるだけに、ここでマリウスの耳に歌声が届くと何だか嬉しくなります。

ガブローシュは海人くん。最近剛基ガブに当たることが多かったので久しぶりでしたが、何だか6月、7月に観た時よりも声が弱くなっているように見えました。音響さんがマイクの音量調整に失敗したか、もしかして喉を潰し気味なのでしょうか?演技力ではガブローシュキャストの中でも図抜けてるだけに、何とか持ち直して欲しいと思います。
三谷テナルディエも6月以来の再会。宿屋の場面で、歌が上手くなってる!と驚いてしまいました。駒田テナみたいな強烈な個性こそ無いけれど、一見好々爺風な雰囲気と、死体から金品を奪うおぞましさとのギャップの激しさが印象的でした。
マダムテナの森さんはもう何度か観てるので言及は省略しておこうと思ったのですが、スルーするにはあまりに強烈すぎる存在なので1点だけ。2幕の結婚式でマリウスにねだった礼金を胸の谷間に押し込んでました(笑)。何て便利で羨ましい谷間なんでしょう。

本日東京楽の聖子エポを観るのは2回目。現キャストの中で歌唱力は一番だと思うのは身びいきが過ぎるでしょうか?演技についても聖子エポ、「恵みの雨」で死に瀕して苦しそうなのだけどマリウスの腕の中で心底嬉しそうなのが泣けます。
今ジャベールも、私にとっては本日が楽日でした。これまでの繰り返しになりますが、立ち姿の美しさや警棒をくるりと回す捌きの綺麗さ、それから「君たち信じてるよ、うんうん」というようにうっとり星を見上げる姿の健気さ等々、一つ一つの演技を改めて噛みしめて心に焼き付けておりました。ジャベールが自分の立ち位置を見失って狂った高笑いを放ちつつ死んでいく瞬間、雑誌『Look at Star』『Top Stage』(8/22訂正)の今年8月号の今井さんと今さんの対談での「だってジャベールは悪いこと一つもしてないでしょ」という今さんの発言を思い出して胸が締め付けられたりもして。

そして山口バルジャン。テナルディエからちびコゼットを引き取った後の、抱っこして大回転して、手をつないでぶんぶん振りながら数歩歩み、またひょいと大事な宝物のようにコゼットを抱き上げて退場していくまでの短い間に、この子との幸せな十年間が想起されるのがたまらなく好きです。歌については2幕の「彼を帰して」のラストで若干声が引っかかってましたが上手いこと持ち直してました。祈る姿が、この人、何か降りてきてるんじゃないか?っていう位神々しかったです。「バルジャンの告白」やエピローグでは、泉見マリウスとの呼吸が実にぴったり合っていたと思います。

カーテンコールでは、東京楽ということで随所で今さんが聖子ちゃんの背中を押して前に押し出そうとしているのを見て1人で喜んでいた私。聖子ちゃんのご挨拶もありましたが、ああ、この子は本当に真面目で優等生なんだなあ、と改めて思わせてくれる内容でした。

次回の観劇は19日マチネ予定。ジャベールは岡さんです。私的な総合ベストジャベールは今さんなのですが、山口バルジャンと岡ジャベのハモりは最強だと思っているので、かなり楽しみにしております。……例え知念エポ・富田コゼという最凶の組み合わせだとしても。そして前日が有明ビッグサイトの某お祭り参加で、当日の観劇終了後その足で羽田発の飛行機に乗り出張に向かうとしても(^_^;)。

*1:本来それがファンテとして普通だと思うのだけど。何故他のファンテは最後まで元気なんだろう?特に山崎ファンテ。