日々記 観劇別館

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『ジーザス・クライスト=スーパースター』(エルサレム・バージョン)感想(2007/8/5マチネ)

ジーザス・クライスト=柳瀬大輔 イスカリオテのユダ=金森勝 マグダラのマリア=高木美果 カヤパ(大司教)=飯田洋輔 アンナス(カヤパの義父)=阿川建一郎 司祭1=佐藤圭一 司祭2=田辺容 司祭3=川原信弘 シモン=神崎翔馬 ペテロ=田中彰孝 ピラト=田島亨祐 ヘロデ王=半場俊一郎

JCSエルサレム・バージョンを初めて観劇してきました。一緒に観た友人と開演の1時間弱前に昼食を摂ったところ、開始後20〜30分程度で眠気に襲われて危険な状態に!何とか持ちこたえましたが、かなりきつかったです。
柳瀬さんのはエルサレム・バージョンでもやはりパワフルな美声でした。顔は……実は二枚目?と終演直後は思っていたのですが、友人の「柳瀬さんって下村尊則さんに似てない?」という発言で我に返りました(笑)。それでも「ゲッセマネの園」の歌声には思わず引き込まれて、お陰で気づけば眠気もすっかり吹っ飛んでました。
前回のジャポネスク・バージョンですっかり下村ヘロデにやられたので、今回出てると良いな、とこっそり期待しておりましたけれど、フタを開けたら『オペラ座の怪人』でピアンジを演じていた半場さんでした。金ピカど派手で飽食体型のヘロデも意外と悪くはなかったです。歌は上手いし。
ユダは金森さん(旧・キムスンラさん)でした。芝ユダより若々しくて悩める青年、という感じでした。芝ユダのジーザスに対する執着よりちょっと粘着度は薄かったように思います。芝ユダが「嫉妬に狂うおじさま」だとすれば、さしずめ金森ユダは「理想に恋して苦悩する青年」とでも申しましょうか。
マリアは前回と同じ高木さん。柔らかい美声が素敵でした。今回何故か心情的にマリアに肩入れしてしまい、彼女がジーザスに高価な香油を使ってユダに文句を言われるシーンで「つべこべ言わんと使わせてやれ」と怒りを覚えた私。とは言え、ジーザスが娼婦出身のマリアごときに癒されるのはユダには許せなかったんでしょうね。で、民衆の頂点に祭り上げられて後は堕ちるだけになるのも許せない、ならいっそ自分の手で引きずりおろしてやるって、何て屈折した愛なんだろう、と思います。でも、マリアもユダも誰も本当にはジーザスの心の内に入り込めていないのが悲しいですね。

ジャポネスクとエルサレム2つのバージョンを観て、それぞれの演出に良さがあることが分かりました。ジャポネスクの良さは歌舞伎メイク。あれでどんな役者でも七難隠せる、というのは冗談ですが(^_^;)、余分な表情を削ぎ落としてくれる様式美の力は凄いです。もうひとつの大きな違いはユダにまつわる2つの場面、自殺と「スーパースター」です。ジャポネスク・バージョンでは崖の上から飛び降りて死に、天上(神の国にあらず)の異世界からシャウトしながら空中ブランコに乗って登場。エルサレム・バージョンではまるでアリ地獄のように砂漠の真ん中に吸い込まれて死に、舞台袖からシャウトしながらダンサブルに登場。死に方としては後者の方が迫力があって好きなのですが*1、死後は高みから見下ろしている方がゴーストっぽい雰囲気が出てて良いです。何か書き忘れたような気もしますが、JCSは来週も観るので思い出したらまたその時に。

*1:レミゼのジャベールの死に方と酷似。ジャベールは砂漠に吸い込まれるわけじゃないけど。