日々記 観劇別館

観劇(主にミュージカル)の感想ブログです。はてなダイアリーから移行しました。

奥華子コンサート2006冬〜小さな星の降る夜〜(2006/12/19 19:00開演)

「観劇」ではありませんが、ステージということで取り上げさせていただきます。
華子さんの曲はアニメ版『時をかける少女』のテーマ曲とあと数曲ぐらいしか知らないので、こんなのが聴きに行って良いのかと思いつつ、連れ合いがチケットを取っていてくれたので行ってきました。そんな状況なので、セットリスト等は作れておりません。すみません。

会場は渋谷C.C.レモンホール渋谷公会堂)。年齢層は若い人が多いのかな?と思っていたら、我々のような30代や、40〜50代と思しき世代もちらほらいて、割合幅広いようでした。
コンサートが始まり、何曲か聴いて感じたのは、歌詞が実にど真ん中ストレートで心に響いてくるということ。言葉は厳選され尽くしているけど、変に捻られていないので、素直に気持ちに届いてきます。あまりに素直すぎるのが却ってせつないです。
また、CDで聴いていたよりもずっと音楽がパワフルで骨太。これは音響効果もあるのでしょうけれど、かき鳴らされるピアノやキーボードの音とともにかなりずしりと来ました。

もう一つ華子さんで印象的だったのは、MCや歌からにじみ出る、一見可愛らしくてほんわか天然、実はとても真摯な人柄です。例えば、
「ずっとバス・トイレが(ユニットではなく)別々の部屋に住みたくて、やっと見つけて引っ越したけど、その部屋は冬は毛糸の帽子をかぶらないと居られないほど寒い。部屋を探したのは夏だったので気づかなかった。今は不動産屋さんでバス・トイレが別々の部屋の情報を探して自分の部屋の家賃が安いことを確認するのが楽しみになってる」
というとぼけたエピソードを披露したかと思えば、
「昔はどうしてクリスマスにばかり皆プレゼント交換したり恋人が欲しくなったりするんだろうと不思議に思っていましたが、今はそれでも良いと思っている。5年前のニューヨークのテロ事件にショックを受けてから、どんな人も皆クリスマスは平和であるようにと思うようになった。その時に作った曲が『サンタに願いを』です」
という思いを語ってくれたりします。
曲と曲の間でいつも少し長めの「溜め」を入れるのも印象に残りました。一気に走らず、一曲一曲と真面目に向き合い、世界に入り込みながら演奏しているような雰囲気でした。

コンサート全体を振り返って感じたのは、ああ、色々な意味で若いんだなあ、ということです(笑)。特に、アンコール時のMCで、インディーズからメジャーに打って出て得たものと失いつつあるものとの間での葛藤について語るのを聞いて、そう思いました。
個人的には、彼女の音楽に若者ならではの翳りや純粋さ、真摯さはあるけれど、黒さというか毒が少しだけ加わるともっとぐっと深みが増すのではないかと考えたりもします。でも一方で、毒が入ったらそれはもはや奥華子ではないものになってしまいそうです。だから、願わくば、ずっとずっと真摯に真っ直ぐに曲を作り続けることで、これからも訪れるであろう試練や障壁をも乗り越えるパワーを発していて欲しいと思います。